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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第一部 第四章 家族の絆
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サトゥニアの思惑

 一方、サトゥニアの町ーーー。


 玉座の間にて、魔王サトゥニアが、二人の悪魔たちと円卓越しに向かい合っている。


「…どういうつもりだ、サトゥニア」


 魔界参謀のクロニオスが、サトゥニアへ不快さを隠そうともせずに、こちらを睨みつけてくる。

 その隣には、唖然としているデメナの姿もあった。


「言葉通りだ。今日、ペルセの鍛錬の際に、貴様らも顔を出せ」


 サトゥニアは平然と言い放つ。

 それに対し、クロニオスは思い切り机を殴りつける。


 クロニオスの怪力が、空気を揺らがせる。

 しかし、サトゥニアは全く動じなかった。


「ふざけてんのか!!今更俺らが…!!」

「ふざけてなどいない。貴様はペルセに会う資格がない、と言っているが、それは貴様らの自己満足だろう」


 その言葉に、クロニオスの表情が歪む。

 この夫婦との付き合いは長い。だからこそ、この二人の感情の機微などお見通しだ。


「…特にデメナ。貴様は配下のイアノを通じて、ペルセの様子を聞いているだろう。何か、聞いていたりするか?」


 サトゥニアはデメナへ視線を向けた。

 デメナは一瞬視線を落とす。うつむいてしまって表情は見えないが、明らかに何かを堪えてるような、そんな様子だ。


 何を堪えてるかなど、明白だと言うのに。

 サトゥニアには、無駄に抗ってるようにしか見えなかった。


「…少なくとも…ペルセさんは、私たち両親を、拒む様子を見せていない、と…」


 デメナは、途切れ途切れに言葉を紡ぐ。

 その言葉に、クロニオスの視線が自分から反れる。


 しかし、ここで話を止める気はなかった。サトゥニアは、口を開いた。


「そういうことだ。少なくともペルセは、貴様らを拒絶するつもりはない。あとは、貴様らの意識だけだ」


 サトゥニアはそう言いながら、二人を真っ直ぐに見つめていた。

 その言葉に、デメナは肩を大きく動かした。


「だが、俺らは…!!」


 クロニオスはそれでも、首を縦には振らない。

 この男の真面目さと初志貫徹振りは、評価すべきところだ。だが、今回に限っては、明らかに枷だ。


 サトゥニアは相手のその頑固さに、軽くため息をつき、席を立った。


「…俺が間を取り持つのは今回だけだ。この機会に会わぬというのなら、それも止めはせん」


 サトゥニアは呆れたように、二人を見る。


 クロニオスは震えている。それが怒りなのか、何かを我慢しているのかは分からない。だが、明らかに迷っているのは確かだ。


 デメナは、もう限界そうだ。クロニオスの方に向けて、何かを囁いている。だが、その中身に興味は無い。


 ここからは、夫婦で決めること。そう考えるサトゥニアに、これ以上介入する気はなかった。


 サトゥニアは出口へと歩を進めつつ、視線を自身の腕時計へと向ける。そろそろ、イアノがペルセを鍛錬場に連れてくる時間だ。


「…二時間後に、第一鍛錬室。そこに来れば、鍛錬後のペルセに会えるよう、手筈を整えている」


 通り過ぎるその瞬間に、サトゥニアは低く言い放つ。

 クロニオスの纏う空気は、それでも変わらない。


 サトゥニアは二人からの反応を待つことなく、玉座の間を出ていった。


 言うべきことは、言った。

 あとは、あの二人がどう動くか。


「…バカ者共が…」


 静かな廊下で、思わずそう呟かずにはいられなかった。

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