表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第三章 最上位の町・サトゥニア
66/68

会わない愛情

 質問をされたサトゥニアは、少し苦々しそうな様子だ。


 確かに、言われてみると気になることではある。なぜ、両親が来てくれないのか。


 単純に忙しいとかだろうか。しかし、サトゥニアの顔からすると、そうでもなさそうだ。


 ーーーまさか、自分に会いたくない、とかなのか。


 嫌な想像が、ペルセの頭をよぎった。もしそうだとしたら、正直、立ち直れる自信がない。


「…ペルセの両親は、『会わない』という選択をした。決して、ペルセに会いたくない、というわけではない」

「えっ…?」


 会えるのに、わざわざ会わないことを選んだのか。


 自分には、親の気持ちは分からない。一方で、サトゥニアの答えを聞いた、マールとハイーラは、まるで信じられないものを見ているかのように固まっていた。


「な、なん、で…?」


 ハイーラは言葉がうまくつなげず、呆然としている。その様子を見たサトゥニアは、冷静に言葉を続けた。


「…本人達は、『我々が今更親を名乗る資格はない。ペルセという娘を、遠くから見守るしかできない』と言っていた」

「そんな…!!」


 ーーーその言葉を、ペルセは完全には理解することができなかった。しかし、両親が自分に会うつもりがなさそうだ、ということは理解できた。


 だが、答えを聞いたハイーラは、何だか哀しげな表情を浮かべている。


「…何で、お父さんとお母さんは私に会わないの?」

「ん〜…」


 話がよく分からず、隣にいるマールに質問をする。それに対し、マールは少し困ったように、視線をそらす。


「…今は、そして多分これからも、君の隣に親として立つべきではない、って、思ってるんだろうね〜」

「立つべきでは、ない…?」


 そんなの、自分の考えが完全に無視されている。

 もし、自分が両親に会いたいと言っても、断るのか。


 ーーーそれほど、自分の隣にいるのが、嫌なのか。


「ん〜…多分、君の想像とは逆だね〜」

「逆?」

「むしろ〜…好きだからこそ、下手に会ったら、逆に君を傷つける、とか思ってそうだね〜」


 …マールには、何でもお見通しなのか。まるで、自分が似たような経験でもしていたかのような、変な説得力があった。


 実際、マールの様子は、何だか少し寂しそうなものだった。


「…ペルセ」


 急にサトゥニアから呼ばれ、ハッとする。意識が完全に、マールの方へ向いてしまってる。

 ペルセは慌ててサトゥニアの方へと向き直った。


「今すぐに、両親とどうこうする決断をしろ、などとは言わない。今日は、相当に色々聞かされて、疲れたろう」


 …完全に、見破られている。確かに、かなり疲れている。


 サトゥニアはさらに、言葉を続けた。


「今日は帰って休め。これ以上増やせば、お前はパンクしてしまうだろう?」

「…ありがとうございます」


 サトゥニアの気遣いが、ありがたかった。

 ペルセは否定もせずに、素直に頭を下げた。


「アモディエナ。客人がお帰りだ」

「かしこまりました」


 ずっと静観していたアモディエナが、ゆっくりと立ち上がった。


 ようやく、帰れる。ペルセはそう思い、立ち上がろうとした。


「…うぁれ…?」


 同時に、何だか視界が歪む。足から力が抜けていく。


 意識が保てない。もう、立っていられない。そう気づいた時には、ペルセの体はすでに倒れ始めていた。


 しかし、ペルセの体が地面に激突することは、なかった。


「…全く、無理しすぎだよ〜」


 その声を最後に、ペルセの意識は闇に沈んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ