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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第三章 最上位の町・サトゥニア
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明かされる、異常な血

 クロニオス。尋問室でも聞いた名だ。

 その名前を聞いたのは、今日が初めてだった。初めてのはずだった。


 ーーーなのに、やはりどこかに懐かしさを感じる。


 デメナの名前を聞いた時と、同じだ。記憶にないはずなのに、なぜか暖かさを感じた。


「なッ…ナンバー2…!?」

「それは…思ったよりもビッグネームだ〜…」


 ハイーラとマールは、あまりに驚き過ぎて、口をあんぐりと開けている。普段の生活で、そんな顔を見せないだろう。


「念入りに調査をした。アモディエナの部下からもたらされた情報を元に、記録を洗い直した」

「バルディから報告を受けた時は、私も驚いた。まさかな…と」


 サトゥニアとアモディエナは、それぞれ何かを思い出してるようで、視線が少し彷徨っている。


 何だか、はぐらかされてるようで、少しモヤモヤしてきた。


「…結局、どういうことなんです?」

「…………ならば…ハッキリと結論を言わせてもらおう」


 ペルセが直球で、サトゥニアに質問をぶつけた。それに対し、サトゥニアは、しばしの間の後、何かを決めたようにつぶやいた。


「貴様は、クロニオスとデメナ、その2人を両親に持つ、『サトゥニアの中でも異質な血統』の悪魔だ」


 ーーー衝撃。

 頭をぶん殴られたような衝撃が、全身を走る。


 自分が、サトゥニアの血をひいてる?ダスノムにいたはずの、自分が?


 クロニオスという悪魔がどんな者なのかは分からない。分かってるのは、アモディエナよりもさらに上にいる、ということだけだ。


 しかし、デメナといえばーーー


「デメナ、って…。あの、尋問室でバルディさんを助けた、あの悪魔!?」


 ペルセより先に、ハイーラが声をあげた。


 そうだ。尋問室では、顔こそ見えなかったが、自分と同じような色の髪が印象的な、あの女性だ。


 ーーーあの悪魔が、自分の母親だ、と。

 いきなり言われても、理解が追いつかない。


 しかし同時に、納得している自分もいた。

 デメナとクロニオス、その2人の名前に、懐かしさと暖かさを感じるのも、両親だというのならばーーー。


「…その様子だと、デメナを見たことはありそうだな」


 あまりの衝撃で、処理しきれずに固まっているペルセとは対照的に、サトゥニアは一人で納得している。


 忘れるはずもない。暴れようとしたアンドレイスを、ほとんど何もさせずに、あっさりと無力化してしまえる、あの悪魔を。


 自分は、あの女性の血を、ひいているのか。

 あんな、圧倒的な悪魔の血を。


「…直接見たなら分かるかもしれないが…。デメナの魔力は、『魂』に干渉することができる。どこまでできるかは、私にも分からないが…幹部悪魔の中では、かなり異質な部類だ」


 ーーーもう、自分の母親が分からない。もはや、想像すらできない。


 しかし、サトゥニアの話は、まだ続いていた。


「だが…。アスティアノで起きた魔力災害の大半は、クロニオス…お前の父親由来の魔力だ」


 サトゥニアはそう言い、改めて先程の図を示してきた。


「元々、サトゥニアの悪魔の持つ魔力というのは、アスティアノの魔力とは相容れない。質が違いすぎるからな」

「…だから、ペルセちゃんに、私の治癒魔力が届かなかったのですかね…」


 サトゥニアの語りに、ハイーラが何かに納得したようだ。うんうんと、静かに頷いている。


「だが…ここまでの大規模な上書きを起こせるのは、クロニオスの魔力由来だろう。ナンバー2だけあって…その質は、アモディエナ達よりも、私に近いからな」


 …もはや、理解が及ばない。

 なにを言われてるのか、分からない。


 周りは、話を理解できているのか。


「クロニオスや私の魔力は、強烈に『支配』に寄ってるものだ。その魔力が強く出たことで、周囲の…アスティアノの魔力を、完全に『支配』し、『上書き』してしまったのだろう」

「…もう、お腹いっぱいですね〜…」


 サトゥニアの言葉に、とうとうマールが弱音を吐いた。やはり、マールにとっても重い話だったか。


 サトゥニアはそれを受け、しばし唸った。

 そして、ゆっくりと口を開いた。


「…今までの話の中で、聞いておきたいことや、要望はあるか?」


 サトゥニアは、ペルセをまっすぐに見ながら聞いてきた。

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