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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第三章 最上位の町・サトゥニア
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一致した異常魔力

「…まずは、わざわざこのサトゥニアの町まで来てくれたこと、感謝する」


 サトゥニアはそう言うと、頭を下げる。

 ペルセは慌てて頭を下げ返した。

 ただ、来た、というより連れてこられた、に近いので、そう言われても正直、ピンとこない。


 一瞬の静寂。机のわずかにきしむ音が、耳に入った。

 その静寂を、アモディエナの声が破った。


「魔王様。早急に本題に入りましょう。そこまで時間的な余裕があるわけではないですよ」

「……それもそうだな。アモディエナ、例の資料は?」

「こちらに」


 アモディエナはそう言うと、サトゥニアの前に、一つの蒼い球体を転がした。そして、その球から、様々な図や文字列が、空間上に現れた。


 ーーー以前、バルディがやってたような技だろうか。

 そんなことを考えていると、ハイーラが声をあげた。


「これって…ダスノムと、アスティアノの…?」

「あぁ。以前アモディエナの部下からも共有された、魔力災害のデータと、ダスノムの瞬間的な乱れのデータだ。これを、そこにいるペルセが起こしたと聞いてる。…間違いないな?」


 サトゥニアはそこまで言い切ると、円卓に座る他の4人全員に視線を向ける。


 そう言われても、ペルセには、このデータが何を意味してるのかすら分からない。しかし、周りの3人は、静かに頷いている。


 ーーー本当に、自分が起こしたのか。記憶にはないが、否定はできなかった。


「…特に、アスティアノの魔力乱れは、かなり特有なものだ。恐らく、アモディエナの部下にも、この乱れのパターンが何由来のものなのか、分からなかったはずだ。そうだろう?アモディエナよ」

「えぇ…」


 サトゥニアの言ってることは、理解ができない。理解できたのは、バルディにも分からなかった、ということくらいだ。


 話から早々に置いていかれてしまい、ペルセは首を傾げた。


 しかし、サトゥニアは構わず話を続けた。


「しかし、それも当然の話だ。ペルセ…貴様の魔力は、アスティアノ由来のものでもない。そこにいる2人とも異なるのだ」

「えっ…?」


 いきなり話を振られて、思わず変な声が漏れる。

 自分の力が、ハイーラ達とも違う。そう言われても、分かるわけがない。


 ーーーだが、隣に座っているマールもハイーラも、納得しているような顔だ。


「やっぱり、そうですか〜。薄々、気付いてはいましたからね〜」

「これ、データで見ても、明らかに私達のものとは違いますからね…」


 目の前に出されているジグザクの直線を見ながら、2人はうんうん頷いている。


 ーーー何だか、仲間外れにされてしまったような、そんな感覚を覚えた。ペルセは、少し口を尖らせた。


「話は少し変わるが、このデータを見てみろ」


 そう言うと、サトゥニアは手を前に差し出した。すると、その手の上に、別の図が現れる。

 何だか、アモディエナが出してた図と、形が似ているように見えた。


「これ、そっくり…?」

「そうだ。調査の途中で、このデータを見た時…私もアモディエナも、腰を抜かした」


 無意識に出たペルセの呟きに、サトゥニアはきちんと反応した。

 たかが図が似ているだけで、そんなに驚くことがあるのだろうか。ペルセは、偶然だと思った。


「知っての通り、我々悪魔の魔力のタイプは、血…もっと言えば、血縁者に依存する。親子や兄弟であれば、発現する魔力が似るのだ」


 知っての通り、と言われても、そんなの初耳だ。

 ーーーそんな話、聞いたこともない。血筋が悪ければ、力もないのか。


「…それって、血だけで全て決まる、ってことですか…?」


 だから、思わずそんな言葉が、口をついて出てきてしまった。

 隣に座るハイーラが焦っている。しかし、それを、アモディエナが無言で首を横に振り、制している。


「…あくまで、『素質』の話だ。『実力』は、努力次第で何とでもなる。例を挙げるなら…バルディは、まさしく努力で魔力を強くしたタイプだ」


 アモディエナの言葉に、ペルセは少し安心した。

 頑張れば、皆バルディのようになれるのか。そう思うと、胸が軽くなったような気がした。


「…だが、鍛錬していない場合は別だ。血統が、思い切り出てしまう」

「では…この、魔力データは一体どなたの…?」


 ハイーラは図を見ながら、サトゥニアへ質問を投げかけた。その質問に、サトゥニアの顔付きが強張った。


 少し、躊躇をしているように見える。言えないような悪魔のデータなのか。


 しかし、少しして、サトゥニアは口をゆっくりと、今までよりも重厚に開いた。


「…この魔力データは…私の側近、サトゥニアのNo.2である…『クロニオス』のものだ」

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