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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第三章 最上位の町・サトゥニア
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サトゥニア到達

 どれほど、時間が経ったか。それを知る術もない。


 初めてハイーラのいる町に行ったときとは、また感覚が違う。あの時は、ものすごい速さで移動してる感覚だった。


 しかし、今は一方的に引っ張られてるような、そんな感覚だった。もはや、どちらが上なのかも分からなくなっている。


 ペルセは目を閉じているので、周りの者達がどうしてるかは分からない。しかし、少なくともペルセが手を触れてるバルディは動いていないようだった。


 しばらくすると、引っ張り上げられる感覚がなくなった。同時に、アスティアノでは感じられなかった、空気の重さを感じ取った。何だか、少し息苦しささえある。


 ーーーしかし、なぜだか嫌な感じはしなかった。それどころか、妙に落ち着くような気さえしていた。


 一体、なぜなのか。それは、全く分からない。


 ペルセは恐る恐る、目を開けた。


 その視界にまず写ったのは、まるで童話の中に移動したのかと思うほどの、豪華そうな部屋の壁だった。壁や床には、細かい飾りなどがついている。それらにも派手さはなかったが、鈍く煌めいている。


 色合いこそ黒や紺色といった、暗めの色合いだった。しかしペルセにも、この部屋がアスティアノのどの空間よりも、豪華であることは分かった。


「…ここが…サトゥニア…」

「何だか…空気が重いね〜…ちょっと、気分悪くなりそ〜…」


 ハイーラとマールも、辺りを見回している。やはり、アスティアノとのあまりの違いに、戸惑っているようだ。


 特に、マールの顔色があまり良くなさそうだ。少し、苦しそうに見える気もする。


 ーーー気分が悪くなる、という感覚は、ペルセにはなかった。ここの空気は、そんなに不快なのだろうか。落ち着く、とまでは言えないが、不愉快さはまったくなかった。


 二人の様子を眺めていると、バルディがこちらを向いた。


「…気分はいかがですか?ここの雰囲気は、通常のアスティアノの悪魔には、なかなか慣れにくいものだと思います」


 バルディは慣れてるのか、平然としている。気分悪そうにしているマールとは対照的だ。


「………正直、あまり心地よくはないですね…」

「…まぁ、それはそうでしょうね」


 ハイーラは軽くため息をつき、頭を掻きながら少し顔を歪めた。ハイーラにとっても、いい場所ではないのか。


「ここは、私の所属する魔界災害調査管理部を含めた、諜報活動を行う直属部署の本部となっています」

「直属部署の、本部…?」

「はい。私も時々、報告のためにサトゥニアへ呼ばれることはありますが、基本的にここへ呼ばれます」


 バルディはそう言うと、自分の立っている場所を指し示した。この場所にピンポイントで呼ばれてる、と言いたげだ。


 何だか、またよく分からない説明をしている。部署の名前は、長くて覚えにくい。バルディの話は、やはりあまり面白くなかった。


 ハイーラは気分が良くなさそうなマールを軽く介抱しつつ、そんなバルディの話を聞いていた。


「そして、アスティアノを含めた魔界中の諜報活動、及び災害調査を取りまとめる…言ってしまえば、私の直属の上司が…あちらに、いらっしゃいます」


 バルディはそう言うと、手である場所を示した。ペルセもハイーラもマールも、思わずそちらに目を向けた。


 視線の先には、部屋の雰囲気に見合った、地味ながら高級そうな机と、座り心地の良さそうな大きくて黒い椅子があった。しかし、椅子は背もたれを向けており、そこに座っている人物は見えなかった。


 しかし、椅子の向こう側から、ただならぬ雰囲気を感じた。


「…よく来たな、待っていたぞ」


 直後、低い声が空間全体に響き渡った。

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