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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二章 上位の町・アスティアノ
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サトゥニアへの転送

「それでは、これよりサトゥニアに向かいますが…何か、お聞きしたいことはございますか?」


 バルディは淡々と、しかし明確にこちらを見ながら尋ねてきた。


 聞きたいこと。知りたいことは山ほどある。しかし、どう聞けばいいか分からない。


 ペルセが戸惑っていると、ハイーラが口を開いた。


「あの…どうやって行くんです?」

「私の体に触れててください。アモディエナ様が、私をサトゥニアに直接瞬間移動させますから」

「直接!?」


 ハイーラが思わず、変な声をあげる。

 ペルセには、バルディが何言ってるのか、全く分からなかった。


「…通常は、互いの合意の上で転送陣をつなぐものです。ただ、サトゥニアの場合はいろいろと制限があって、基本的に私達の方からは入れません」


 バルディの説明に、今日何度目か分からなくなる、ハイーラ達の呆然顔が視界に入った。


 だが、ペルセなりに何とか理解しようと頑張ってみた。


「…えーと…つまり、向こうが連れてってくれる、ってこと?」

「…まぁ…平たく言えばそうですね」


 バルディはペルセの発言に、少し戸惑ったように答えた。ペルセは、何となく理解できたような気がして、何だか嬉しくなった。思わず、胸を張った。


「そういえば〜、何でサトゥニア8世様はペルセを直接呼び出したんですか〜?」


 バルディの背中に手を触れながら、マールが尋ねた。

 確かに、それは自分も気になる。さとぅにあ、というのが相当偉い悪魔だとはペルセにも分かっていた。


 ーーーそんな悪魔が、わざわざ自分のような悪魔を呼ぶわけは、確かに気になる。


 バルディは唸りながら考え込んでいた。そんな、言えないような理由なのか。


 少しの沈黙が流れる。街の喧騒だけが、いやに大きく耳に入ってきていた。


「…私も、アモディエナ様経由でしか伝えてもらってない上、全部は聞かされていませんが…」

「サトゥニア8世様から直接は聞いてないってことですか?」

「えぇ…」


 バルディは少し、気まずそうだ。視線が合わせてくれない。

 あれだけ頭が良さそうなバルディにも、知らないことがあるのか。


 ーーーそう思うと、何となくバルディに親近感がわいた。


 少しして、バルディはゆっくりと口を開いた。


「…少なくとも、アモディエナ様の様子からすると、ペルセのことについて、何かご存知というか、心当たりがありそうでした」

「心当たり〜?」

「えぇ…アモディエナ様に先日の報告を見せた際に、データではなくペルセという名前に反応されてたので」


 名前に反応した、というのか。自分というものを見分けるだけのものに、そんな大した意味などあるのだろうか。

 しかし、自分にはさとぅにあという場所にに行った記憶がない。気付いたときには、もうダスノムにいた。


 マールとハイーラが、こちらを見ている。しかし、いくら言われても、ペルセの方に心当たりはなかった。


「…こればっかりは、行ってみないと分かんないね〜…」

「それもそうね…」


 しばしペルセへ視線を向けた後、マールとハイーラはそれぞれ軽くため息をついた。


 一体何なのか。

 わけが分からず、ペルセは首を傾げた。


「そろそろ行きますよ。私の身体に触れててください」


 バルディはポケットから何か黒くゴツゴツした、小さい機械を取り出し、弄り始めた。

 ペルセはバルディに手を触れながら、その様子を眺めていた。

 やはり、男性の体だ。マールやハイーラと違い、ゴツゴツしている。

 バルディが何かダイヤルのようなものを回すと、機械の方から、ザーッという音と共に、低い声が聞こえてきた。


「アモディエナ様。こちら、バルディです」

『…バルディか。準備できたのか?』

「はい。お願いします」

『了解した』


 それだけのやり取りで、機械からの音声は途切れた。

 バルディは機械をポケットにしまいながら、ペルセたちの方に視線を向けた。同時に、辺りが青白い何かに包まれた。


「…もう間もなく転送します。転送酔いもあるので、慣れない方は目を閉じておくことを推奨します」


 バルディからそう言われたので、ペルセは素直に目を閉じた。体が外側から揺らされるような錯覚を覚える。


 ーーーそして、しばらくして、一気に上へと引き上げられる感覚があった。

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