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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 外伝 第二章 人外種族の特性と歴史

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獣人の魔力特性

 次の日、エストラでは実習授業が行われていた。

 ペルセはその魔力の質ゆえ、周囲の魔力施設ごと破壊しかねないため、実習に参加することは許可されず、見学となっていたため、ミノト達を含めたクラスメイトの様子を眺めていた。


 仕方のないこととはいえ、一緒に実習できないのは少し寂しい。だが、そんなペルセを気遣ってか、ミノトを筆頭に、皆が積極的に声をかけてくれるので、仲間はずれにされてる感覚は全くなかった。


 今、ペルセの目の前で、ミノト達が魔力操作の実習を行っている。今日の実習内容は、魔力の制御方法の実習の一環として、遠くに置かれた的の特定座標を撃ち抜く、というものだ。普段大雑把で豪快な魔力の扱い方を好むミノトにとっては、苦手な分野だ。


「むぅ〜…こんな細かくできないよぅ…!」

「落ち着いください。冷静にならねば、暴発しますよ」

「は、はいっ…!」


 不満を漏らすミノトに対し、バルディが冷静に忠告する。そんなバルディの顔を間近で見て、ミノトはほんのりと顔を赤らめる。


 ーーーやっぱり、よく分からない。そんなに照れ臭くなるようなことだろうか。


「ダリスはその調子です。ただ、肩に力が入り過ぎです。もう少し脱力しましょう」

「だ、脱力…?」

「これは練習なので、いくら外しても構いません。脱力しなければ、視野が狭くなり、ひいては精度の低下にもつながります」


 ダリスへの声がけも、非常に淡々としている。バルディはダリスにお手本を見せるかのように、自分の魔力を極限まで威力を絞った上で指先に集中させた。


「す、すげぇ…」

「ここまでの精度を要求するつもりはありませんが、威力を絞って、かつピンポイントで撃ち抜くためには、力んでいてはできませんよ」


 バルディはそれだけ言うと、魔力を体内への引っ込めた。


 何だか、アモディエナからの指導を思い出す。バルディはアモディエナの配下なので、似ていても不思議ではない。だが、全く同じことを、アモディエナはかつてペルセ自身にも言っていた。


「あと、そもそも…見ている限り、ダリスは魔力がミノト達人間や私達悪魔とはかなり違う、荒ぶった魔力ですね」

「え?えぇ、まぁ…獣人ですから」

「人間に最適化された制御方法、ある程度は通用するでしょうが…少し、個別にカスタマイズしてみてもいいかもですね」


 バルディはそう言うと、ダリスから離れた。

 確かに、改めて観察してみても、ミノトの放つ魔力と、ダリスの放つ魔力は全然違う。ダリスの魔力の方が、もっと暴れん坊な印象を受ける。


 すると、一人の生徒がバルディに声をかけた。


「そういえばバルディ先生は、どのくらいのとこまで精密に狙えるんです?」

「…その気になれば、あそこにいるペルセ様の眉間を撃ち抜くこともできますよ」


 そう言うと、バルディはこちらへ視線を向ける。いきなりそんなことを言われて、ペルセは咄嗟に、両手で自分の額を庇った。

 イアノなら表情から冗談だと分かるのだが、バルディは表情一つ変えることなく言ってくるので、冗談だと分かっていても笑えない。


 だが、周りからはドッと笑いが起きた。


「ペルセ〜、狙われてんぞ〜」

「逃げなきゃじゃないか?」

「あそこから眉間って、むちゃくちゃ細かくない!?」


 庇ってくれる声は、皆無だった。ペルセは不満げに、頬を膨らませた。

 だが、少し騒がしくなったところで、バルディが大きく手を叩いた。


「できるというだけで、やる気はありません。聞かれたから、分かりやすい例えをしたまでですよ」

「バルディさん、ホントに心臓に悪いからやめて…」

「すみません」


 苦情を入れても、バルディは冷静だった。イアノのように、クスクス笑いながら対応されてもどうかと思うが、バルディのように真面目な対応をされても困ってしまう。


「…さ、実習を続けましょうか」


 だが、バルディは特に気にしていないらしく、実習の指導へと戻っていった。

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