オーレンの最期
---意識が朦朧とする。
何が起きたか、記憶が朧気だ。確か、いきなり襲われて、目の前でオーレンが何かに貫かれて、そして---
「オーレンさん!!」
ペルセは勢いよく起き上がった。どうやら、今の今まで気絶していたらしい。辺りを見回しても、自分たちを襲っていたあの男は見つからない。ただ、異様な光景が広がっていた。
「え…?」
まるで、山をスプーンで削ったかのような開け具合。目の前に積みあがっていたゴミの山が、すっかりなくなり、遠くまで見通せるようになっている。
一体、ここで何があったのか---。
「ぺ…ルセ…」
自分の足元から、苦しそうな声が聞こえてきた。今まで散々聞いてきた、大事な人の声---。
「オーレンさん!!」
慌ててオーレンを抱き起そうとした。しかし、非力なペルセでは、大人のオーレンを持ち上げることができなかった。オーレンは吐血し、その血がペルセの腕についた。
「…守れなくて…済まない…」
「…ううん…!!そんなこと、ない…!!」
震える手が、ペルセの頬に優しく添えられる。ペルセの頬は、涙と血でぐちゃぐちゃだったが、そんなこと、今のオーレンにとっては無関係だ。
「…お前は、まだ、若い…。俺らとは…違う、世界で…」
「オーレンさん?嫌だよ…死んじゃイヤ!!」
腹に風穴があいている。その傷は、止まる気配を見せない。---このままでは、助かるはずはない。それは、ペルセも分かっていた。だが、この言い方は、まるで遺言だ。
---離れたくない。失いたくない。
そんなペルセの思いとは裏腹に、オーレンの声色は、どんどん弱々しいものになっていく。しかし、表情は今まで見たことがないほど、穏やかで優しげだ。
「お、お前なら、できるさ…。何せ、俺の、むす、め…」
その言葉と共に、オーレンのまぶたは閉じられた。そして、頬に添えられていた彼の手が、力なく地面に着地した。
「オーレンさん?…オーレンさん??オーレンさん!!」
手の中に感じていたオーレンの温もりが、次第になくなっていくのを感じる。震えが、涙が止まらない。しかし、いくら呼び掛けても、いくら揺さぶっても---もう、返事をすることはなかった。
---ペルセの泣き声が、ゴミ山中に木霊した---




