全てを失った、その先へ
---数日後。
ペルセは、とある準備をしていた。
あの時、オーレンから言われた、最期の言葉。それを実行に移すために。
すっかり開けてしまったゴミ山から、可能な限り食料をかき集める。オーレンを含め、ゴミ山の悪魔達から学んだ観察眼を生かし、食べられそうなもの、ある程度保存が効きそうなものを中心に選び出す。そして、選んだ食料を、これまたガラクタの中から見つけたカバンにぶち込む。
「…よし、これだけあればいいかな」
カバンが満杯になったところで、ペルセは一息ついた。
食料の準備はOK。服についても、この数日間、オーレン達から教わった布の再利用手法を用いて、何着か小綺麗な服を作ることができた。これだけあれば、ひとまずは大丈夫だろう。
準備ができたことを確認し、ペルセはゆっくりと空を見上げる。
---いつもの、魔界の暗い空だ。
一度このゴミ山を出てしまえば、当面、戻ってこられないだろう。下手すると、一生戻ってこないかもしれない。
「…でも、それがオーレンさんの、望みだよね…」
自分を納得させるように、静かに呟いた。
生まれたときからではないが、自分の人生の半分以上を過ごした、このゴミ山---。そこを離れることに、思うことはあった。
「…オーレンさん。皆。…またね。行ってきます」
誰も聞いていない。誰にも聞こえていない。そんなペルセの挨拶が、ゴミ山に響く。返ってくるのは、いつも通りの悪臭と、風の音だけ。
寂しさも感じつつ、ペルセはゴミ山を出発した。
---彼女の物語は、ここから始まる---。




