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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 最終章 最底辺の悪魔は人間界に戻る

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新しい生活の始まり

 次の日の朝。


 ペルセはエストラの校門の前に立っていた。その隣には、前回も今回もホストファミリーを務めるラウラの姿があった。だが、今回は一緒に来たわけではなく、すでに出勤していたラウラが、校門まで迎えに来ていた。


「…今日から授業ですね」

「うん!!また授業を受けられるの、楽しみ!!」


 ラウラが優しく声をかけると、ペルセは気合が入ってる様子で答えた。


 再び、エストラで勉学に励める。しかも今回、魔界から来たのは自分だけではなく、バルディとイアノも正式にエストラに招かれている。こんなの、嬉しくならないわけがない。


「…そう言っていただけると、先生としては光栄ですよ」

「えへへ」


 ラウラは優しく、ペルセの頭に手を添える。照れ臭くなり、ペルセは頬を掻きながら視線をそらした。


「おはようございます!」

「はい、おはようございます」


 まだまばらではあるが、すでに登校時間ゆえ、周りに他の生徒もいる。その生徒達がラウラに挨拶をし、ラウラも穏やかに挨拶を返している。


 ーーー平穏。自分を狙う輩も、ラウラを害する者達も、もう誰もいない。ここでは、安心して過ごすことができる。


「ペルセちゃーん!!」


 エストラの校舎を眺めながら黄昏れていると、後ろから聞き覚えのある黄色い声がした。振り返ると、そこにはダリスと共に登校してきたミノトが手を振っている。


 ダリスはいつものように真面目な表情を貫いているように見えて、口元は緩んでいる。


「あ、ミノトだ!」

「ふふ、あの子は朝から元気ですね」


 歩み寄ってくるミノトを、ペルセとラウラは見つめながら、静かに笑っていた。


 天真爛漫。その言葉はまさに、今のミノトを表すのにピッタリな表現だろう。そう思えるほど、今のミノトの笑顔が眩しかった。


 そんなことを思ってると、いつの間に距離を詰めてきたのか、ミノトに抱きつかれた。


「おはよ!!ペルセちゃん!!」

「わわっ!?」


 勢いが強く、後ろに転びそうになる。何とか踏ん張って耐えることができたが、かなり危なかった。


「おいミノト。先生への挨拶が先だろ」

「ダリス!!空気読んでよ!?」

「目の前に先生いるの分かっててそれ言ってんなら、周りが見えてないにも程があんだろ」


 ダリスが呆れたように言っている。

 しかしそれでも、ミノトはペルセから離れる気がないらしく、そのままの体勢で、ラウラの方へ視線を向けた。


「おはようございます!ラウラ先生!」

「はい、おはようございます、ミノトさん」

「…おはようございます」

「ダリスさんも、おはようございます」


 二人はラウラに挨拶をする。ラウラも二人の様子を見て、苦笑いをすることしかできないようで、挨拶を返す以上のことはしなかった。


「ミノト」

「何?」

「…ありがとう」


 自然と、ペルセの口から出た。

 脈絡も何もあったものではない。そもそも意図して言った言葉ですらない。


 なぜ、この言葉が出たのか。ペルセにも分からない。ミノトも当然分からないようで、首を傾げながら、ペルセの顔を見ている。


 暑さの残る、穏やかな風がペルセの頬を撫でる。ペルセやミノト、ラウラの髪の毛、ダリスの体毛が、風に揺られていた。


「…行こっか。教室に」

「うん!!」


 風にかき消されそうなほどの、小さな声。だが、そんなペルセの声でも、密着しているミノトの耳には届いたらしい。

 ミノトはハグを解消し、ペルセと手を繋ぐ。


「じゃあラウラ先生!また後で!!」

「えぇ、いってらっしゃい」


 ミノトは明るくラウラに言うと、ペルセを連れて、そのまま軽い足取りで校内へと向かった。


 これから、楽しいことも辛いこともあるかもしれない。しかし、ミノトやダリス、ラウラやヴァーレアといったエストラの仲間達や、イアノやバルディのような魔界の知り合いもいる。


 どんなことも乗り越えられそうな気がする。ペルセはミノトに引っ張られながらも、嬉しそうに笑っていた。


 ーーーペルセの楽しい留学生生活は、これから始まる。

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