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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 最終章 最底辺の悪魔は人間界に戻る

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ミノト歓喜の抱擁

「え…えぇぇぇぇっ!?ペルセちゃん!?あの!?」


 いの一番に叫び声をあげたのは、ミノトだった。あまりの衝撃に、眠気が完全に吹き飛んだらしい。


 ミノト程ではないにしても、ほかのクラスメイト達もざわついていた。その様子を見て、ペルセは胸が熱くなる。


 ーーー覚えててくれた。ただ、その一点だけで、嬉しくなる。


「言うまでもないと思いますが…あの時と同様に、皆さん、ペルセさんと仲良くしてあげてください」

「よろしくお願いします!!」


 ペルセはそう言うと、勢いよく頭を下げた。


「ペルセさんの席はあそこです」


 ラウラはそう言うと、ミノトの隣の、窓際の席を指差す。

 以前と変わらない座席を残していたのか、元々余っている席なのかは分からない。だが、どちらにしてもペルセにとっては嬉しかった。

 軽やかな足取りで席へと向かい、腰かけた。


「ペルセちゃん…!お帰りなさい…!!」

「…うん、ただいま」


 隣に座るミノトが、今にも泣きそうな表情で声をかけてきた。

 別れの時に見せた泣き顔と変わらない表情。だが、そこに込められてる感情は、あの時とは正反対だ。


「…いつまでいられるんだ?」


 そんなミノトとは対照的に、ダリスは相変わらず落ち着いている。だが、声に震えが残っており、感情を完全には隠し切れていないのが見え見えだ。


「それと、もう一つお知らせがあります」


 ペルセが答える前に、ラウラが強制的に視線を前へ向けさせる。

 ーーーそういえばそうだ。魔界からやってきたのは、自分だけではない。「あの二人」がいることも、忘れてはいけない。


「ペルセさんの留学とは別に、二学期の間限定で、魔界から特別講師を招いています。本日の始業式で紹介がありますから、詳しくはそちらで説明がなされます」


 ラウラがそう言っていると、チャイムの音が響いた。予定では、ラウラの言っていた通り、まずは体育館に移動して始業式となっていた。


「では皆さん、貴重品だけ持って、体育館に向かいましょう」


 ラウラはそう言うと、廊下へと出ていく。その後へ続くように、他のクラスメイトも廊下へと移動していった。

 ペルセもそれに続けて移動しようとしたが、後ろから何かにぶつかられた。見てみると、そこには抱きついてきてるミノトの姿があった。


「ミノト…」

「本物…本物のペルセちゃんだぁ…」

「えぇ〜…」


 後ろから腰に抱きつかれてしまって、動けない。ペルセは困ったようにダリスを見た。

 しかし、ミノトをたしなめる側であるダリスでさえ、ため息こそついているが、首を振っている。どうやら、今回ばかりは少しの間だけでも好きにさせてやれ、ということらしい。


 無理矢理引き剥がすわけにもいかず、ペルセはオロオロすることしかできなかった。


「…ミノトさん。時間に遅れますよ」

「うぅ…」

「…今日は午前終わりですから、放課後にたっぷり時間がありますよ」


 ラウラから優しくそう諭され、ミノトは渋々ペルセから離れた。

 これから始業式があるのだから、仕方がない。とはいえ、ペルセとてミノトに会いたかった。


「…ペルセちゃん?」

「このくらいなら、いいよね?」


 ペルセはそっと、ミノトと手を繋ぐ。ハグまでされてしまっては動けなくなってしまうが、これならば普通に移動できる。このくらいなら、バチは当たるまい。


 ラウラもその様子を見て、苦笑しながらも咎めるつもりはないらしい。そのまま体育館へと足を向けていった。


「…お前ら。さっさと行くぞ」

「ダリス!!せっかくの雰囲気ぶち壊し!!」

「うるさい。時間が迫ってんだ。再会早々怒られたくはねぇだろうが」

「ぐぬぬぅ…」


 何だかんだ言いながら、ダリスは相変わらず優しい。口は悪いが、それでもミノトがペルセ相手に、感情のまま振る舞うことを全く咎めていない。


 ーーーこの二人も、やっぱり仲が良い。来て早々、ペルセは改めて痛感した。


「行こ!ペルセちゃん!!」

「そうだね」


 ミノトは繋いだ手を引っ張り、ペルセを連れて体育館へと向かう。その後ろを、呆れながらも穏やかな表情で見つめるダリスが歩いていた。

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