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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 最終章 最底辺の悪魔は人間界に戻る

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五年三組の重大事件

 数ヶ月後。

 人間界で、二学期が始まろうとしていた。

 長期の休みが明けて、エストラの校内にもゾロゾロと制服姿の生徒達が入ってくる。


 エストラの小学部、五年三組もその例外ではない。


「もう夏休み終わりかよー」

「学校めんどくさい…」

「宿題終わった?」

「昨日徹夜で…」


 教室に入ってきた生徒達は、挨拶もそこそこに喋っていた。朝の会が始まるまで、まだ十分程度ある。


 五年三組の一員の少女、ミノトは机に突っ伏していた。夏休み期間中の生活習慣が抜けきっておらず、まだ眠かった。そんなミノトに、呆れた様子の狼の獣人、ダリスが近付いてきた。


「…おいミノト」

「なに…?」

「また休み期間中夜更かししてただろ」

「してない…」

「…してたな」


 ミノトの眠そうな声色だけで、ダリスはミノトの休み中の過ごし方を大まかに察したらしく、大きくため息をついた。


「…全く…」

「はい、皆さん座ってください」


 呆れたダリスが何かを言おうとする直前に、教室の扉が開き、担任のラウラが入ってきた。


 ーーーまだ時間にはなっていない。いつもラウラは時間よりも少し早く来るが、時間になる前に座るように言ってくる教師ではない。


 周りの生徒たちも不満気な様子で、渋々席へと座る。ダリスも例外なく、ミノトの後ろの席へと座った。


 ふと、気になってミノトの隣、窓際の席を見る。ずっと空席になっている座席だ。一学期の半ば、この席にはペルセという悪魔の留学生が座っていた。

 たった二週間ほどの、短い留学だった。その留学も、大人の都合だか何だかで、強制的に切り上げられてしまったことを覚えてる。


 なぜ、今になってこんなことを思い出したのか。夏休みを挟んだことで、思考が何だかおかしな方向にいっているのだろうか。

 ーーーもしそうなら、自分もミノトのことは言えたものではない。ダリスは再度、ため息をついた。


「少し早いですが、全員いるようですので朝の会を始めます」


 ラウラは教壇の上から見下ろしている。ミノトの隣の席以外は埋まっているので、確かに全員来ていることは間違いないだろう。


 ラウラのことが大好きなミノトは、先程まで机に突っ伏していたと言うのに、ラウラが教壇に立った途端、物凄い勢いで起きた。

 随分と、調子のいいやつだ。ダリスは何度目か分からないため息をついた。


「さて、皆さん、おはようございます。夏休みお疲れ様でした。楽しめましたか?」


 ラウラは穏やかな笑みを浮かべ、皆にそう聞いた。生徒達は口々に、「楽しめたー」「寝てたー」と各々の夏休みについて話していた。


 しかし、ラウラはそれを咳払いでピシャリと止めた。


「…と、その手の話をするつもりだったのですが…。今回、重大なお知らせがあります」


 そう言うと、ラウラは真剣な表情になった。


 重大なお知らせ。以前、よく分からない事情で、事前の通知もなく、学校を二ヶ月間休職したラウラのことだ。また何か、事件にでも巻き込まれたのだろうか。

 生徒がざわついていると、教室入り口の扉がゆっくりと開かれ、一人の少女が入ってきた。


 ピンク色のツインテール、ミノトと変わらない小柄な体格、そして何より、その頭から生えてる独特な短い角。


 ーーーまさか。いや、そんなはずはない。記憶に残る特徴的な部分が、全て一致している。その少女はラウラの隣で周りを見回すと、笑顔を浮かべた。


「皆、お久しぶり!ペルセです!!」


 その一言で、教室はお祭り騒ぎへと突入した。

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