学長の提案への、三者三様の反応
一方、魔界のサトゥニアの町。
王宮の執務室で、サトゥニアは大笑いしていた。
「ハッハッハッハッハ!!エストラの学長とやらは、面白いことを依頼してくるものだ!」
サトゥニアは手に持った資料を見て、嬉しそうにしている。その場にデメナとアモディエナがいることを忘れてるかのような反応だ。
デメナもアモディエナも、別件で魔王であるサトゥニアに確認を取りたいことがあり、執務室に赴いたのだが、当のサトゥニアがこの様子で、二人して顔を見合わせていた。
「ま、魔王様…あの…」
「ん?あぁ、済まん済まん。あまりに面白くてな、柄にもなくはしゃいでしまった」
気まずそうにアモディエナが声をかけると、サトゥニアはようやく呼びかけに応えた。だが、肩は震えており、笑いを堪えてるのは一目瞭然だった。
「…一体、何が書かれていたんです?」
「気になるのか?」
「そりゃあ、まぁ…」
おずおずとデメナが質問すると、サトゥニアは何の躊躇いもなく、資料を二人の眼前へと差し出してきた。
デメナとアモディエナは、その資料を読んでみた。
ーーーそして、デメナは堪えきれず、同じように吹き出してしまった。
「こ、これは…またスゴいことを考えてますね!?」
「留学だけならまだしも、なかなかな依頼だろう?」
確かに、これはなかなかな依頼だ。無礼だとかそう言ったことでは決してなく、単純に予想外すぎる方向の依頼だ。
サトゥニアが大笑いした理由も分かってしまう。仮に一人で見ていたら、笑いながら夫のクロニオスに振ってしまうだろう。
サトゥニアとデメナが笑い合っていると、隣でずっと資料を見ていたアモディエナが静かに口を開いた。
「…なるほど。人材を選定した方が良さそうですね」
感情の起伏が少ないアモディエナでさえ、エストラ学長の提案に乗り気になっている。アモディエナにも刺さったようで、デメナは少し安堵した。
「そうだな。お前らも乗り気のようだし、向こうには良い返事をしておくぞ」
「それで問題ありません。デメナも、それで構わないな?」
「えぇ。こんな提案、乗らないわけがありません」
サトゥニアもアモディエナもデメナも、その場で頷いた。
自分達が直接関わることは難しい。だがそれでも、間違いなくこちらにとってもメリットのある提案だ。
「それはそうと魔王様、本来の用事を済ませてもよいでしょうか?」
「おっと…私も確認事項があるんでした。私のは急ぎではないので、先にアモディエナさんから済ませてやってください」
「…助かる」
とはいえ、本来の用事がなくなったわけではない。一しきり堪能した後、アモディエナとデメナは本来の用事を済ませる方向へシフトした。
サトゥニアもそれを分かっていたようで、先程までの大笑いが嘘のように消え、アモディエナの用事への対応を始めるのだった。




