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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第十一章 ドゥローラへの裁き

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ラウラの復職

 翌日。人間界、エスカン王国内にある魔術師学校、エストラにて。


 ラウラは約二ヶ月ぶりに、エストラ校内の職員室へと足を踏み入れる。


 ーーー変わっていない。何一つ。

 積み上がる書類の山、フル稼働している魔力端末、そして走り回る講師達の姿。


「変わってないねー」


 ラウラが言葉を発するよりも先に、精神世界にいるヴァーレアが、ラウラの頭の中に聞こえるように呟いた。ラウラ同様、ヴァーレアもこの光景を懐かしんでるようだ。


「おはようございます」


 入り口で淡々と挨拶をする。その瞬間、職員室内にいる講師たちの視線が、一斉にこちらへ向いた。


 唖然としている者、まるで幽霊でも見たかのように驚いてる者、そして笑顔を浮かべている者、色々な反応が返ってくるのだった。


 皆が動きを止めてる中、唯一動いた講師がいた。

 いつもの橙黄色の魔女っ娘衣装に身を包んだ、丸眼鏡をかけた小柄なエルフ。その講師は、ラウラの肩を軽く叩いてきた。


「お帰り!ラウラ先生!!」

「エルフィー先生…」

「やっと帰ってきたとね!ホント、戻ってこれて良かったばい!」


 エルフィーは子供のような笑みを向けてくる。この二ヶ月、電話越しで話をすることはあったが、対面で話をするのは久し振りだった。


「積もる話もあるばってん…まず、学長に報告した方がよかやろ。ウチらは今日帰ってくるとは聞いとらんかったけど、学長には共有したっちゃろ?」

「しましたよ」

「ほんなら、荷物置いたら学長室やね」

「えぇ」


 ラウラはそう言うと、エルフィーと共に自分のデスクへと向かう。

 二ヶ月間出勤できなかったにも関わらず、掃除が行き届いている。しかしながら、二ヶ月の間で発行された書類等が積み上がってるようで、少し気が滅入りそうだった。


「はぁ…面倒ですね」

「仕方ないよ、ランちゃん。現実問題、二ヶ月もランちゃんの仕事が完全に止まっちゃってたし」

「そうですね…」


 ラウラはため息をつきながら、椅子に腰かける。ヴァーレアが諭してきていたが、それも軽く流しつつ、荷物を机の横へ置き、端末へ魔力を流し込んで起動させた。


「しばらくは職員室に缶詰ですかね…」

「まぁ、さすがに授業とかはまだ無理やろな。しょんなかことばい」

「分かってます」


 ラウラはそう言いながら、手早くメールを確認していく。二ヶ月も経っていたため、かなりの量溜まっている。


 営業メールも含まれているので、全てを処理する必要はないかもしれないが、それでも数日はかかるだろう。講義や研究業務もやりたいのだが、しばらくは難しそうだ。


「ランちゃん。学長室行かないの?」


 ヴァーレアが卓上の鏡の中に姿を現す。魔界には鏡があまりなかったので、この感覚も久しぶりだった。


「行きますよ。もちろんね」

「行ってら〜」


 ラウラが立ち上がると、エルフィーがあまりにも軽いトーンで、手を振って送り出してくれた。

 普段から軽い態度の多いエルフィーだが、今回ばかりはそれが非常にありがたい。


 ラウラは適当に手を振り返しながら、学長室へと向かったのだった。

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