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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第十一章 ドゥローラへの裁き

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必殺の反撃

 レボルタは唖然としている。

 ドヤ顔で、こちらの鼻っ柱を折るつもりで出した資料を見せた結果、逆に自分へ質問がとんでくるとは、露ほどにも思わなかったのだろう。


 確かに、レボルタがヴァーレアを所有していた、という事実を証明することは難しいだろう。なぜなら、所有などしていないのだから。とはいえ、所有していないことを示すことも困難だ。


 だが、そここそが反撃の糸口だ。逆に言えば、ラウラがヴァーレアと契約を結び、形式上はラウラが所有してることを証明できればよい。ヨルゼフはゆっくりと手を挙げた。


「…ヨルゼフ国王。何か意見が?」

「この場で資料を出すことは不可能ですが、少なくともラウラさんがヴァーレアさんと、長らく『契約』し続けてる、と証言できる者を紹介することは可能です」


 そう言うと、全員の目が一斉にこちらへと向いた。レボルタに至っては、恨みのこもった視線を向けてきている。


 ーーーまるで、そんなヤツ等いない、とでも言いたげだ。

 だが、レボルタは重大なことを見落としている。ラウラがどこで働いていて、ヴァーレアという悪魔が、一体何者だったのかを。


「…差し支えない範囲で、聞いても大丈夫か?」

「何名かいますが…まず、ラウラさんの職場である、エストラの講師達。エストラにはエルフのような長命種もいますから、確認は取りやすいか、と」

「…ふむ」

「あとは…ヴァーレアさんのご実家である、ゴエティフス家の方々です。資料の最後にも書かれています通り、ラウラさんと直接話し合いをし、正式にゴエティフス家として、ヴァーレアさんをラウラさんへ託しています」


 ヨルゼフがそう言い切ると、裁判官は慌てて資料を確認する。その部分は、ラウラ個人の意見陳述書ではなく、ゴエティフス家としての公的な記録ゆえ、裁判官も無視できないだろう。


 少しして、裁判官達が顔を上げた。


「…確かに、その旨が書かれている。ゴエティフス家として、ラウラさんを次女のマスター…契約主と認め、託した…と」


 その一言は、重く響き渡った。レボルタでさえ、目を見開いている。


 ヴァーレアの家族が、ラウラを受け入れ、認めている。その事実が、受け入れ難いのだろう。


「…そん、な…あれは、我々、の…」


 レボルタはその場で崩れ落ちる。

 数百年前から狙い続けていた悪魔と、それを奪ったと思っていた人間。その二人は、家で公的に認められた、言わば夫婦のような存在。


 一度成立した契約に割り込むことは、一方的なものであっても容易ではない。しかし、それをラウラはヴァーレアとの契約を成立させ、しかもヴァーレアもそれを受け入れている。


 ーーーすなわち、ドゥローラはヴァーレアを『所有できていなかった』ことになる。


「…どちらが正しいか、明白だな」


 裁判官は厳かに呟く。


 最後の最後は、レボルタの自爆だった。正確に言えば、自爆特攻をして失敗した、といったところか。だが、これで良かったのかもしれない。自らの愚かさで、最後まで守りたかった組織と、一蓮托生で共に沈むことができたのだから。


 本来ならば、王としてこのような感情を持つことは許されない。だが、誰にも聞こえないほどの小さな声で、ヨルゼフは呟かずにはいられなかった。


「…自業自得。お似合いの末路だ」


 ヨルゼフは項垂れるレボルタを見ながら、気づかれないようにほくそ笑むのだった。

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