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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第十一章 ドゥローラへの裁き

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平和な時間と、外交の時間

 その頃、魔界の鍛錬場にて。


 サトゥニアは仕事を早めに区切り、自身の従兄弟でもあるクロニオスと、その娘であるペルセに会いに来ていた。


 ベンチの上には、先日無理矢理呼び出した埋め合わせとして、クロニオスが昔から好んで飲む高級酒のビンが、個包装された状態で置いてある。


「サトゥニアさん!今のどうだった!?」

「いいんじゃないか。前より大分狙いが正確だぞ」

「へへん!」


 サトゥニアに褒められて、ペルセはしたり顔だ。


 魔王としての仕事で忙しく、サトゥニアがペルセの鍛錬に顔を出すことはめったにない。それゆえ、ペルセもいつもより気合が入ってるように見える。


「うふふ。魔王様も子供の扱いがお上手ですね」

「クロニオスとお前の娘なのだ。粗末に扱うわけもないだろう」


 母であるデメナにからかわれようと、構わない。ペルセのことを、本当はもっと可愛がりたいし、甘やかしたいくらいなのだ。

 実際今日も、クロニオスへの手土産以外に、ペルセへのお菓子を大量に持ち込もうとしたのだが、両親に止められたのだ。


「全く。お前にも娘のような素直さがほんの少しでもあればよいのだがな、クロニオス」

「うるせぇよ。俺のキャラに合わねぇだろうが」

「ま、それもそうか。素直なお前だったら、それはそれで気持ち悪ぃし」

「オイ」


 クロニオスは不満気だが、実際想像してみたら気持ち悪かったのだから仕方ない。サトゥニアは静かに笑っていた。


 すると、サトゥニアの頭の中に、魔力通話がかかってきた。その魔力は、アモディエナのものである。


「…すまん、少し失礼するぞ」

「何だ緊急案件か?」

「お前には極力回さんようにする。今はただの親父でいろ」


 クロニオスは突き放されたことに少し不服そうではあったが、貴重な娘との時間をまた取り上げるつもりはない。サトゥニアはそそくさと鍛錬室を出る。


「どうした、アモディエナ」


 数コールほど鳴らされた後に、サトゥニアは応答することができた。電話の向こう側からは、紙のこすれる音が聞こえてくる。


「お休みの所申し訳ありません。先程、ヨルゼフ国王陛下からお電話がかかってきまして」

「…何だと?」


 ヨルゼフからの電話。もしかして、ドゥローラやソロモニアの方で、何か動きがあったのか。


「…ヨルゼフ国王は何だと?」

「数百年前に起きた、ヴァーレア消息不明事件について、真偽をお聞きしたいとのこと。当時かなりの問題になりましたから、調査資料については私の方でも探すことは可能ですが…」

「ふむ」


 このままアモディエナに任せてしまっても構わない。彼ならば、きちんとヨルゼフへ対応し、必要な書類に必要な処置をして渡すだろう。


「資料については依頼していいか?俺が認めるだけよりも、信憑性が高くなる」

「承知しました」

「だが、通話はこちらに回せ。俺からヨルゼフ国王へ伝えよう」

「分かりました。すぐ繋ぎますね」


 アモディエナはそれだけ言うと、一度電話を切った。おそらく、自身の魔力回線を通じ、ヨルゼフの電話と自分の魔力を接続しているのだろう。

 しばしノイズ音が流れる。だが、ほんの数秒間だった。


「…サトゥニア陛下。お忙しい所申し訳ない」

「いえいえ。それで、聞きましたよ。ヴァーレア消息不明事件について知りたい、とか」

「知りたいと言いますか、本当のことであったかをお聞きしたいのです」


 電話の向こう側のヨルゼフは、相変わらず落ちいていた。

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