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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第十一章 ドゥローラへの裁き

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ヨルゼフの決断

 電話の向こう側のレボルタは、黙りこくっていた。

 もう、この対応をされるのは、何度目か分からない。


 それでも、ヨルゼフは相手の言葉を待った。だが、しばらく待ってもレボルタは何も言わない。


 最も都合の悪い事実ではあるだろう。だが、自分の非を認めなければ、ドゥローラという国そのものがなくなりかねない。


 ーーーそう、思ったのだが。


「…俺は、間違っていない…!悪魔やサルごときに、屈するかよ…!!」


 レボルタはそう啖呵を切ると、電話を一方的にガチャ切りしてきた。


 通話の切れたツーツーという音が、受話器から空しく響く。ヨルゼフは耳に当てていた受話器を、しばらく見つめていた。


 ーーーもう、あの国は長くない。あの男がトップに立っている限りは、だが。


「…やれやれ…」


 ヨルゼフは静かにため息をついた。


 あの男との付き合いも短くはない。確かにできた人間ではなかったし、賢しさのある王ではなかった。だがそれでも、ヨルゼフなりにきちんと王として向き合ってきたつもりだ。


 だが、もうダメだ。ヨルゼフの見える範囲でドゥローラの国内情勢を観察した限り、国内の有力者、政府関係者さえも、レボルタを見限る時も、そう遠くはないだろう。


 ヨルゼフはそう判断し、魔界やエスカンの周辺国に向けて、手紙を書くために筆をとる。

 無論、ドゥローラという国を助けてほしい、なんていう命乞いのためではない。


「…もう、周知の事実かもしれないがな…」


 サトゥニアからの手紙が送られてきて、魔界の介入が確定的になった際に、周辺国へドゥローラと魔界との間のトラブルの内容について、念のため共有していた。それゆえ、レボルタやソロモニアが、魔界の悪魔に対して何をしていたのかは、すでに周辺国もある程度は知っている。


 だが、それに加えて、今回のドゥローラ国家研究者の大量流出だ。受け入れているエスカンとしても特に隠してない以上、国際的なニュースになることも時間の問題だろう。


 もしそうなった場合、今までとは比較にならない混乱が起こると予測される。それも、ドゥローラ国内では留まらない、大きな混乱だ。

 エスカンではすでに備えをするよう、ドゥローラとやり取りしている企業等に呼びかけているが、他はどうか分からない。


 ーーーヨルゼフの筆は、全く止まらない。共有すべきことを、全て手紙にしたためる。そしてそれをコピー機で何部か複製し、それぞれを封筒に入れた。


 そして、封筒にそれぞれの住所を書く。ドゥローラと国境を接する国、そしてその周辺国の外交担当部署の住所だ。

 差出人は、外交担当の名前ではなく、自分の名前とする。これは、国としての公式なものではなく、あくまで王個人としての情報共有だ。


「…また、外交部からは怒られるかもしれないがな…」


 苦笑いしながら、そう呟く。「陛下、また勝手なことを…!」と言ってくる、外交担当部署の役員達の顔が浮かんできた。


 しかし、それでも止めるつもりはない。ヨルゼフは手紙を郵送するべく、郵便局へと向かうのだった。

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