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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第十一章 ドゥローラへの裁き

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研究者流出の一件

「研究者の流出については、それこそ魔界の件以上に、私は何もしていません」

「嘘をつけ!ならばなぜ、逃げ出した者が他の国ではなく、エスカンへと向かうのだ!!貴様が勧誘したのだろう!?」


 ーーー確かに、ここ1週間ほどの間に、ドゥローラの国家研究者だった者達が数十人単位で、エスカンへと流入している。

 そのせいで、入国管理の業務がねずみ算式に増えており、役所がてんてこ舞いになっている、という報告を受けていた。


 レボルタの言う通り、ドゥローラから逃げるだけであれば、周辺にある別の国に分散しててもおかしくはないだろう。エスカンに集中しているなら、エスカンが勧誘等をした、と考えることそのものは、理屈としては通ってるように思える。


「…私も、全ての研究者達に話を聞いたわけではありません。ですが、聞いた範囲ですと、恐らくラウラさんがエスカンにいる、という事実が大きいか、と」

「なに…!?あの裏切り者が、何だと言うのだ…!!」


 ヨルゼフも忙しい身分であるため、亡命してきた研究者全員から直接話を聞くことはできていない。しかしながら、役所からの報告や、申請書での申告を見る限り、数百年前にドゥローラから逃げて、エスカンへと亡命してきた元国家研究者のラウラという存在をあげる者が多かったのだ。


「ラウラさんは、数百年前にドゥローラから逃げ出した亡命者。当時のエスカン国王が、正規の手続きを持って、ラウラさんを受け入れました。その前例を知る研究者が非常に多い、と聞いています」

「な、に…!?」

「真偽は分かりませんが、その前例があるからこそ、我々エスカンを選んで避難しようとしてる、といったところではないでしょうか。断言はできませんが」


 こればかりは、ヨルゼフにも分からない。だが、現場の話を聞く限りでは、ラウラの影響は間違いなくある。それだけは、間違いないだろう。


「そもそも論ですが、国家研究者を研究現場から追い出したのもアナタだと聞いています」

「それとなんの関係が…!!」

「研究者の方々が口を揃えて言っていましたよ。『ある日突然、研究施設を全てソロモニアに使わせるから出ていけ、と国王陛下から言われた』と。そんな扱いをされてしまっては、国が国家研究者を蔑ろにした、と見なされてもおかしくありませんよ」


 ヨルゼフがそう言うと、レボルタは再び黙りこくってしまった。


 魔界の介入の数日前に、レボルタが元々いた国家研究者を追い出し、全ての研究設備をソロモニアに託した。あまりに大胆過ぎる動きだったゆえ、エスカンの国家研究者の間でも話題となっていたし、ヨルゼフの耳にも入ってきていた。


 だが、結果は惨敗。ソロモニアは魔界の限定的な介入で完全に無力化され、再建も現状全く進んでいないと噂されている。


 ーーー国家研究者が国を見限るには、十分過ぎる状況だろう。


「ですから、我々の元に研究者が流入していることに関して、原因を誰かに定めるとするならば…最大の要因はレボルタ陛下、あなた自身ですよ」


 だからこそ、理解させる必要がある。ヨルゼフは取り繕うことなく、直球で現実を突きつけた。

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