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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第十章 ソロモニア制圧戦

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任務終了

「…これで、全員分完了ですね」


 最後の一人の契約を無力化した。これで、牢獄の中には、誰も囚われていない。


 契約書類も、もはやただの紙切れ同然だ。


「さすがに二十人近くもいると、時間がかかりましたね」


 デメナはそう言うと、肩を回していた。ずっと分析を行っていたからか、少し凝ってる気もする。


「やっと終わりか。長かったのう」

「お二方とも、お疲れ様でした」


 サブリナとキマエが、それぞれ労いの挨拶をかけてくる。

 サブリナに関しては、労ってくれることなど微塵も期待していなかったので、その発言を咎めるつもりもなかった。


「クロニオス。ちゃんとワシと組み手する約束、忘れてないじゃろうな」

「忘れてねぇよ。そんな無責任じゃねぇ」

「かかかかっ、ならよいのじゃ!」


 戻ってきたクロニオスに、サブリナが絡んでいる。相変わらず仲がいい。というより、サブリナが一方的にクロニオスを慕っているような印象だ。


 クロニオス自身は、そんなサブリナを見て鬱陶しそうにしているだけで、特に何か指摘するわけでもなく、ため息をついた。


「そんな…我々の…資産が…力が…」

「はい、戻りますよ」


 絶望した様子で膝をついてる首領の首根っこを掴む。ここに置き去りにしても構わないのだが、そんなことをする気はない。せめて、王宮までは戻してやろう。


 そう思って、半ば強引に立ち上がらせようとしたのだが、完全に脱力してしまっており、デメナの力では持ち上げにくい。魔力で腕力を強化すればよいのだろうが、気乗りはしなかった。


「…ったく、面倒くせぇ野郎だ…キマエ」

「はっ」

「コイツを連れて帰るぞ」

「承知しました」


 そんな様子を見たクロニオスが、頭をかきむしりながらキマエを呼ぶ。

 クロニオスの依頼に応じ、キマエは首領を、まるで米俵でも担ぐかのように持ち上げてしまう。


 やはり、素の物理性能では、キマエにどう転んでも敵わない。もちろん、軍人であり、武闘派筆頭名家マルス家の当主であるキマエと比較するのもおかしいかもしれないが。


 四人はそのまま、来た道を引き返す。不快な環境の牢獄を抜け、暗い階段を抜け、王宮へと戻る。


「そういえば、もう握っておく理由もありませんね。返却しておきますよ」


 王宮に戻る直前、デメナは首領へ握っていた魂魄を戻した。だがそれでも、首領からの反応はない。デメナはそれを気にも留めず、王宮の方へと目を向けた。


 王宮ではソロモニアの魔術師達が、一人の男に説教されているようだった。魔術師達は皆、正座をしてその男の言葉を聞いている。


「…何だありゃ?」


 その光景を見て、首領以外の全員の言葉がほぼ一致する。説教している男は、黒いローブを身にまとっていない。ソロモニアの組員ではないのだろうか。


 すると、キマエに担がれている首領が、男の声に呼応するかのように、ゆっくりと顔を上げた。


「国王…様…」

「国王、だと?あの男が?」


 その言葉で、一行に緊張が走る。


 レボルタ・ドゥローラ。以前サトゥニアと会合をし、サトゥニアをもってしても「話が通じない」と言わしめたほどの、ふざけた国王だと聞いている。


 だが、止まる理由はない。クロニオスは平然と、出口へと歩いていく。デメナもそんな夫の後ろをついていった。


 夫ならば、何とかしてくれる。根拠も理屈もないが、そう信じていた。

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