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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第十章 ソロモニア制圧戦

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囚われた悪魔達

 首領は王宮の地下扉を開き、暗い階段を歩いている。その後ろを、四人の悪魔がついていっていた。


「…デメナ。お前の能力は相変わらずこえぇよ」

「そうですかね?ちょっと魂魄の欠片を摘んだだけですよ?」

「イアノにすらできねぇ精密操作を『だけ』で済ますんじゃねぇよ…」

「あの子はまだ大雑把にしかできませんから。これからですよ、これから」


 クロニオスが呆れたようにデメナへ声をかける。しかし、当のデメナはきょとんとしていた。


 ーーー今更言っても無駄だとは分かっている。だが、クロニオスも妻に言わずにいられなかった。


 デメナがふと、未だに自分の手に握られてる首領の魂魄を眺めた。

 クロニオスから見ただけでは、ただの白色の塊にしか見えない。だが、デメナに言わせれば、その中にある様々な感情が『揺らぎ』として検出できるらしい。


 ーーーやはり、恐ろしい技巧だ。


「貴様のやっておることは、よう分からんわ」

「まぁ、非常に緻密な技巧が要求される運用技術ですから、再現できる者は限られるでしょうね」

「そんな細かい操作なぞ、ようできるわ」


 サブリナが感心半分、呆れ半分でデメナに声をかける。そんなサブリナに対しても、デメナは少し惚けたような反応をしていた。


 再現できる者は限られる、と言っているが、クロニオスが知る限り、デメナの能力を一部でも再現できているのは、魔界ではイアノしかいない。自分やアモディエナすら再現できないのだから、それだけ難解な技術である。


「御三方。ここは敵地のど真ん中。旅行に来ているわけではございませんよ」

「分かっておるわ。貴様は真面目じゃのう」

「あなたについては、最初から期待していません」

「酷いのう。仮にも貴様の上官じゃぞ?」


 キマエから注意を受け、サブリナはカラカラと笑っている。この二人のやり取りは、もういつも通りだ。


 とはいえ、地下室を見回しても、敵の気配はない。一本道の暗い階段を下りているだけで、トラブルが起きそうな様子もない。


 四人の話し声と、それぞれの足音だけが、空間内に響く。


「…ここだ。この先に、悪魔共を閉じ込めている」


 しばらく階段を下りると、頑丈そうな鉄格子の扉が見えてきた。

 今日限りで役目を終えることになるだろう部屋ゆえ、蹴破ってもよかったのだが、首領が鍵を空けてる様子を見て、一旦留まることにした。


 鍵の開く音とともに、扉が重い音をたてる。扉が錆びたりして、立て付けが多少悪くなってるのか、地面に多少引っかかりながら開かれた。


「…ここに全員いるんだな?」

「…あぁ」


 首領の表情は、隙あらば反撃しようとしている、飛びかからんとしようとしてるようなものだった。だが、デメナが魂魄を握ったままである以上、歯向かうことができないのだろう。


 中に入ると、魔界の牢獄区画と同じような、複数の牢獄がズラリと配置されており、中には枷と鉄柱をくくりつけられ、ズタズタにされた姿の悪魔が、ボロ雑巾のように放置されていた。


 地下室ということもあり、湿気がこもっている。若干のかび臭さや、排泄物の匂いもする。


 ーーー罪人であるとはいえ、同族の悪魔が、ここまで劣悪な環境下で、一方的な契約を結ばされて搾取されてるのを見るのは、少し複雑な気分だった。

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