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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第十章 ソロモニア制圧戦

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進まぬ尋問

 四人全員が中から出てくると、ソロモニアの魔術師達はもはや絶望顔だった。


 先程までのしたり顔とは雲泥の差だ。絶対的な勝利を確信してから、突き落とされたのだから、無理もないかもしれないが。


「さて、と…」


 とはいえ、こちらの目的はソロモニアの壊滅ではない。ここで事を起こす理由もないので、クロニオスはソロモニアの魔術師達の前へと躍り出る。


 ソロモニア側は、先程破られた術式のことについてずっと話し合っており、どうやらこちらのことが一時的に眼中から消えてしまっているらしい。


「おい」

「うぉっ!?」


 クロニオスが冷静に声をかけると、ソロモニア側は再度状況を認識したらしく、腰を抜かしていた。

 クロニオスの足元で、無数の男達が尻餅をついている。何だか、異様な光景だ。


「おうおう、随分な臆病者じゃのう。こちらが直接殴って制圧したわけでもあるまいに」

「サブリナ様、お控えください」


 相手を煽るサブリナを、キマエがたしなめている。


 戦場で暴れるのが役目のこの二人なら、このような光景などいくらでも見たことがあるのだろう。サブリナの隣で若干引き気味であるデメナとの反応の差が、きれいに出ている。


「俺等は別に、お前らを殺しに来たわけじゃねぇ。お前らが監禁している悪魔共を取り戻しに来ただけだ」

「な…!?あれは我々の…!!」

「…手紙にも書いたが、これはオタクの国王が言った理屈だ。自国の民ならば、犯罪を犯したとしても国が管理すべきで、他国が介入する余地はない、とな。これについても、エスカンとやらの国王が証人となっている」


 そう言っても、ソロモニアの魔術師達は口を開こうとしない。


 居場所が分からないことには、目的を達成することができない。ここで戦うことはできるが、それでは目的から遠ざかってしまう。


 どうしたものだろうか。考え込んでいると、ソロモニアの魔術師達の一部の数人が立ち上がった。


「殺傷拘束術で、殺してでも…!!」

「む?」


 どうやら、拘束を破られたにも関わらず、なおも自分達を縛り上げようとしているようだ。


 ーーー呆れたものだ。対立するつもりはないと言っているのに、どうしてこの国の者達は話を大きくするのか。


「くら…ぐっ!?」

「クロニオス様が質問されている。さっさと答えろ、愚か者が」


 しかし、ソロモニアの殺傷拘束術とやらが、発動することはなかった。詠唱をし、放出しようとしたその瞬間に、キマエがその魔術師の顔を、その大きな手で鷲掴みにしてしまっていた。


 キマエはそのまま、その魔術師を軽々と持ち上げる。軍人だけあり、やはりこのような現場の対応には慣れているのだろう。持ち上げられた魔術師が手足をジタバタさせているが、キマエはビクともしなかった。


「…で?どこにいるんだ?」


 クロニオスは再び、質問を投げかける。しかし、それでも魔術師達は口を開こうとはしなかった。


 組織や国を守る、というその心意気は立派だ。

 だが、その守る手段が、監禁した悪魔に頼り切り、というのはいかがなものであろうか。


「では、質問を変えます。ソロモニアの首領は、どの方ですか?」


 すると、背後からデメナが口を挟んできた。その言葉と共に、クロニオスの隣へと歩いてきた。


 妻のやることを疑うつもりはない。だが、何を企んでいるのか。


 しばしの静寂。

 しかし、少しするとその静寂を破り、一人の男が名乗り出てきた。


「…わ、私だ。どうするつもりだ」

「大したことはしませんよ」


 デメナはそう言うと、男にゆっくりと近寄っていった。

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