一行の到着
数日後。
ドゥローラの繁華街の中に、四つの人影があった。
明らかに、人外。見た目だけでそれが分かるため、国民達は嫌そうな表情を浮かべながら、その四人を避けていた。だが、四人は大して気にも留めず、道を歩き続けていた。
前方に二人の男女、そして少し後方に別の二人の男女が歩いている。
「…ここがドゥローラか。あの無礼な野郎、こっちの通告を無視しやがったな」
「元々期待はしていなかったんですけどね。まぁ、通達はしましたし、それで知らぬ存ぜぬを通せないよう、ヨルゼフ陛下からもお墨付きをいただいてますから大丈夫か、と」
前方を歩いていたのは、大柄な男の悪魔であるクロニオスと、平均的な成人女性悪魔であるデメナだった。
夫婦である二人は、並んで歩きながら軽口を叩き合い、しかしその足は真っ直ぐに、王宮へと向かっているのだった。
「全く…ワシにお声がかかったから、全面戦争にでもなるのかと思うたら、まさかクロニオスのお守りとはのう。あんな大の男に付き添いなど必要なのか?」
「お守り、というのは少し違うかと。もしあのお二人が感情のままに動き出したときに、腕ずくで止められる数少ない存在だから、ご依頼があったのか、と」
その後ろを、牛のような巻き角を生やした普通の女性にしか見えないサブリナと、普段は甲冑に身を包んでいるのにもかかわらず、今日は少しラフなシャツの姿で歩いている大柄な男、キマエが歩いている。
「わざわざ貴様まで呼ぶとはのう。マルス家当主の仕事は大丈夫なのか?」
「数日程度の出張であれば、問題なく回せる程度には仕込んでおりますし、武闘派名家として鍛錬を欠かさぬよう言い聞かせておりますので、問題ありません。お気遣いありがとうございます」
明らかに体格で劣る女のサブリナに、屈強な軍人体型のキマエが頭を下げている。初見の者達が見たら、異様な光景に映るだろう。
サブリナはそんなキマエに対し、鼻で笑った。
「全部壊せば解決じゃろうに、全く」
「そう単純にいかねぇから、俺らが来たんだろうが」
サブリナの文句に、前を歩いていたクロニオスがこちらを見もせずに言い放つ。
サブリナはそれに対し、少し不満そうにしてはいたが、一応黙った。
「俺らの任務は、ソロモニアの連中に囚われた悪魔達の救出だ。返せという要求は伝えたし、来訪時刻も伝えた。それに対する返事がなかったが、伝達した以上知らぬ存ぜぬは通させねぇ」
「悪魔の生体反応は、例え契約で人間の体内にいたとしても、私が魂魄を通じて掴めます。いざとなったら、拘束場所への道も、力尽くで開けていただきますよ」
クロニオス達は、今回の任務の中身を話す。
キマエは理解したようだが、サブリナは大して興味がなさそうによそ見をしている。だが、その態度もこの四人の間ではいつものことと言わんばかりに、特に触れられることはなかった。
「…さぁ、入るぞ」
王宮の門の前に到着したクロニオス一行は、そのまま王宮へと向かうのだった。




