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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第十章 ソロモニア制圧戦

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レボルタ最大の愚策

 一方、人間界のドゥローラ王国。


 会合が終わって以降、国王レボルタ・ドゥローラは荒れていた。


「クソ!!あの低能猿と使い魔風情が!!」


 レボルタはそう言いながら、使用人を呼びつけるために鈴を乱暴に鳴らした。

 少しすると、息を切らしながら執事服の使用人が走ってきた。


「陛下。お呼びでしょうか」

「ソロモニアの連中を呼べ!全員だ!!」

「ソロモニアを、ですか…?しかし連中、先日の事件で、団員の三分の一程がエスカンに囚われたと聞いていますが…」

「関係あるか!!いいから呼んでこい!!悪魔の贄に捧げられたいのか!!」

「…御意!!」


 執事が慌てたように飛び出していった。


 ソロモニアの連中は、確かに少なくない人数がエスカンに囚われてしまった。あの者たちは、ドゥローラという国の民だ。あの猿の国に捕らえる資格など、どう転んでも出てこないはずだ。


 にも関わらず、エスカンの連中は、捕らえたまま返すつもりがないらしい。それが、とてつもなく不愉快だ。


 しかもそこに、魔界から来たとかいう、よく分からない男もいた。あの風貌からして、人間ではなく悪魔である、ということだけは分かった。


 そんな男から、自分達が保有している悪魔を取り返す、と言われたのだ。


「…余所者風情で、内政干渉なんぞ匂わせやがって…」


 本来、とても看破できるような発言ではない。だが、あの男はこちらの文句を聞こうともせず、そのまま立ち去った。


 なんと無礼な男だ。あれが魔界のトップだというのなら、やはり悪魔という種族を対等に扱う必要はない。レボルタはそう確信していた。


「クソが!!」


 レボルタは気分が落ち着かず、玉座に座ることなく、王宮の柱や壁を殴ったり蹴ったりしていた。


 しばらくすると、ソロモニアの魔術師達がゾロゾロとやってくる。全員が一堂に集まることは少ないのだが、やはり少なく感じてしまう。


「…ソロモニアの者たちよ。俺は貴様らを信じている。魔界のどんな悪魔をも従える、最強の契約術式を結べるのだろう?」

「鋭意開発中でございます、国王陛下。先日の戦闘で得られたデータも含め、改良を重ねております」

「見せてみろ」


 レボルタの要求に、ソロモニアの魔術師の一人が、一枚の丸められた羊皮紙を差し出した。


 レボルタは静かに、その羊皮紙を広げる。中には細かい術式の構造や、その作り方などが書かれていたが、理解は困難極まるものであり、レボルタは何も言わずに返却した。


 ソロモニアの連中は、昔から何を考えてるのか分からない。だが、悪魔の力の扱い方を、こちらに教えてくれることで、長年治世の安定に貢献し続けてきている。それだけで、信用するには十分であった。


「急ぎで頼むぞ。もっと強い力を得なければならないのでな」

「承知しております。我々も同胞が理不尽に猿に囚われ、憤慨しておりますゆえ」

「王宮の研究室を全て使っても構わん。貴様らの研究は、国家維持のための最優先事項だ」

「ありがとうございます」

「話は以上だ。明日には、ここの研究室を開放しておく。自由に使え」


 レボルタはそう言うと、ソロモニアの魔術師達を帰らせた。


 そして、ゆっくりと玉座の間を出発する。

 研究者たちからは、文句が出るかもしれない。だが、治世の維持のためだ、そんな雑音は関係ない。


 だが、レボルタは気付かない。

 崩壊の序曲は、すでに鳴り始めていたことをーーー。

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