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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第十章 ソロモニア制圧戦

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玉座の間からの帰宅

 自分をこんな軽々と、しかも雑に持ち上げられ、ペルセも驚いた。だが、自分にこんな扱いをしてくる相手なんて、一人しか思い浮かばなかった。


「…お父さん?」


 振り向くと、そこにあったのは父親のクロニオスの姿だった。クロニオスはペルセを軽々と抱えて、その腕の上に乗せた。


 相変わらず、丸太のような腕と逞しすぎるその体は、やっぱり安心できる。ペルセはクロニオスの胸板に体を預けた。


「ペルセ、無事で良かった…」

「ペルセさん…」


 すると、ペルセの頭に、母親の手が添えられる。デメナの手も、相変わらず優しいものだった。


 デメナはじっとこちらの顔を見つめてくる。何かあるのだろうか。


「ペルセさん。よく頑張りました。もう、大丈夫ですよ」

「…色々聞きてぇことはあったが…結局、そこだよな」


 両親から、優しい言葉をかけられる。

 昨日、人間界で散々泣いてきてなければ、ここで安心して大泣きしていたかもしれない。


 ペルセは笑顔で頷き、クロニオスの胸板に顔を埋めた。クロニオスのスーツにシワがつくかもしれないが、そんなことは気にもしていなかった。


 デメナの手の上に重ねられるように、クロニオスの手が重なり、二人の手がペルセの頭に添えられている。両親の手が重なって、自分の頭を撫でてくるのは、予想外だった。


「…なぁ…」


 すると、背後から少し気まずそうな様子の男の声が聞こえてくる。


 その声に反応して振り向くと、そこにいたのは分厚い資料を抱えたアモディエナの姿だった。

 何だか、急に恥ずかしくなってしまう。だがそれでも、クロニオスの胸の中から離れたいとは思えなかった。


「お前達、ここが魔王様の御前だということを忘れていないか?」


 アモディエナの一言で、その場にいた全員が気まずそうに視線をそらす。


 ペルセ自身も正直、玉座にサトゥニアがいることを完全に忘れてしまっており、言い返すことができなかった。


「構わん。帰ってきたばかりなのだ、あまり言ってやるな」

「しかし…」

「だが、いつまでもここに屯されても困るな。貴様ら、先に帰っていいぞ」


 サトゥニアは穏やかにそう言ってきた。

 戸惑うアモディエナを横目に、デメナとイアノとヴァーレアは一礼し、ハイーラとマールも深々と頭を下げて、その場を立ち去った。


「…クロニオス、さっさと帰れ」

「分かってる。…なぁ、サトゥニア」

「何だ?」


 クロニオスは玉座に座るサトゥニアと、そこに資料を持って近寄るアモディエナを見つめてるようだった。


 何を考えてるのだろうか。ペルセはクロニオスの腕に座ったまま、クロニオスの顔を見つめた。


「娘を助けてくれて、改めて感謝する」

「お前がそんなこと言うとは、気持ち悪いな。さっさと行け、この親バカが」


 クロニオスが感謝を述べていたが、サトゥニアはそれを一蹴した。


 普通なら冷たい相手だと思うところだろう。だが、ペルセはこの十年、クロニオスとサトゥニアの仲の良さも知っていた。


「…お父さんには相変わらずだね」

「アイツは昔から変わってねぇよ」


 父娘でのやり取りに、サトゥニアが後ろで「聞こえてるぞ」とか言ってきたが、クロニオスもペルセも気にすることはなかった。


 クロニオスはペルセを抱っこしたままで、玉座の間を後にするのだった。

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