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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第十章 ソロモニア制圧戦

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帰還の挨拶

 しばらく、目を閉じていた。まぶた越しにも分かるほどの強い光が、時間と共に、次第に落ち着いてきた。


 それと同時に、人間界の魔力の薄い空気から、慣れ親しんだ魔力の濃い、心地よい感触を感じる。


 ーーー魔界だ。到着したのか。

 そう感じると、ペルセはうっすらと目を開ける。


 目の前に広がっていたのは、何度か来たことのある、魔界の玉座の間。玉座には、昨日と変わらない様子のサトゥニアが座っていた。


「ま、魔王様!!」


 すると、隣にいたヴァーレアが、サトゥニアの前でいきなり跪いた。


 一体どうしたのか。戸惑いながら、その様子を見ていると、部屋の影から人影が現れた。


「ペルセちゃん!!」

「ぐぇっ…!!」


 人影の正体は、ハイーラだった。ペルセを見るや否や、子供のように飛びついて、ペルセを強く抱きしめてきた。

 力の加減ができていないらしく、抱き締められてかなり苦しい。


「ペルセちゃん…無事で、よかった…!!」

「…ハイーラ〜、ちょっと落ち着きなよ〜」

「落ち着けるわけないでしょうが!?人間界で、あんな目に遭ってたなんて…!!」


 すると、ハイーラの後ろからマールが現れた。相変わらず眠そうな様子だが、その目はハイーラ同様、ペルセのことを心配してる事がわかるような目だった。


 ハイーラもマールも、人間界で何があったのかを聞いていたのか。少なくとも、ペルセ自身は話していないので、恐らくサトゥニアかイアノから伝わったのかもしれない。


 しかし、今そんなことを気にしてる場合ではない。ハイーラの抱擁が、強すぎる。何とか振り解こうとしても、まるでビクともしない。ハイーラの力は、こんなに強かったか。


「ハイーラ〜…ペルセが苦しそうだよ〜。ちょっと解放してやりなよ〜」

「やだ!!放したくない!!」

「え〜…」


 ハイーラは解放する気がさらさらなさそうだ。

 嬉しいのだが、ペルセの体にも限界はある。


 ペルセは何とか、ハイーラの背中を叩いた。


「ギブ…!ギブ…!!ちょっと、離れて…苦しいから…」


 このままでは、意識が飛んでしまう。本能的にそう感じたペルセは、ハイーラに何とか自分の状態を伝えた。


「…ごめんなさい、取り乱しちゃった…」

「最初から言ってたじゃ〜ん…」

「るっさい」


 さすがのハイーラも、ようやくペルセを解放してくれた。思いの外強い力で抱き締められたので、ペルセの口から何回か咳が出てしまった。


「ゴホゴホ…えっと…ただいま、ハイーラさん、マールさん」

「「お帰り〜」」


 咳き込みながらも、何とか挨拶をする。それに対し、マールとハイーラは、まるで打ち合わせでもしたかのように、ピッタリのタイミングで挨拶を返してきた。


「…いいなぁ。ボクもあんな風に抱き締めてもらいたかったよ」

「あなたはもう、いい大人でしょう?」

「情緒ぶっ壊さないでよ、姉様!?」


 その様子をずっと見ていたヴァーレアとイアノが、何か言っているのが聞こえた。


 だが、イアノも何か思うところがあったのかもしれない。おもむろに、ヴァーレアの頭に手を置いた。


「姉様?」

「お帰りなさい、ヴァーレア。よく、戻ってきましたわ」

「…姉様ああああああ!!そういうのずるいいいいい!!」


 そう言うと、ヴァーレアはイアノに飛び付いた。

 元々人間界にイアノが来てからずっと一緒にいたはずなのだが、何か違ったのだろうか。


 ペルセには、あの姉妹の情緒を理解することはできなかったが、ヴァーレアに刺さるものがあったのかもしれない。


 そう思いながらイアノたちの方を眺めていると、いきなりペルセの体が持ち上がるのだった。

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