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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第十章 ソロモニア制圧戦

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夕暮れの幕間

 放課後。


 これが、最後になる。そう思うと、ペルセの胸はいっぱいだった。


 エストラの制服を着るのも、今日が最後になってしまうかもしれない。見慣れ始めた、エストラの校門も、もう見ることができないかもしれない。


「ペルセちゃん…!!」


 校門を出ると、すぐ隣から声をかけられる。ペルセはそれに反応し、視線を向けた。


 ーーーミノトだ。その隣には、ダリスもいる。

 学生証の返却等の留学終了手続きを行っていたため、かなり遅くなってしまったはずなのだが。


 まさか、ずっとここで待っていたとでも言うのか。


「…ミノト。それにダリスまで…。どうしてここに?」

「最後くらい、一緒に話そうよ!!お迎えがくるまで、三人でさ!!」


 ミノトにそう言われ、ペルセは黙り込んだ。


 今日も今日とて、ペルセにはお迎えがある。だから、いつぞやのように、三人で一緒に帰ることはできない。


 だから、ミノトのこの気遣いは、素直にありがたかった。


「あ…っ…」


 すると、ペルセのカバンから、数枚の紙切れが剥がれ落ちる。

 それは、ミノトと二人で遊んだ時、初めて撮ったプリクラ写真だった。その中には、大きな文字で「ミノト×ペルセ!人間×悪魔!種族を超えた友情の証!!」と書かれている。写真の中で、ペルセとミノトは背中合わせで腕を組んでいる。


 ーーー大切な思い出ゆえ、カバンに貼り付けて、ずっと持ち歩いていた。


「お前、こんなもの撮ってやがったのか」

「だってダリス嫌がるじゃん」

「…俺が男だということ忘れてねぇか?」

「忘れてないよ!?」


 落ちたプリクラを拾い上げ、カバンに貼り直してると、二人のコントのようなやり取りが聞こえてくる。

 こんな軽快で心地よいやりとりも、しばらく聞けなくなるのか。


 ーーー寂しい。プリクラを見て、余計にそう思ってしまう。

 嫌がられるかもしれないが、ダリスともプリクラを撮ってみたい、と思ってしまった。


「…お別れ会、皆でカラオケ行って、ファミレスでご飯食べる予定だったんだよ」

「からおけ?ふぁみれす?」


 ミノトの口から、未知の単語が出てきた。だが、口振りからすると、ペルセの知らない娯楽なのだろうか。

 興味はあるし、行ってみたい。だがそれも、当面叶わぬものとなってしまった。


「写真もいっぱい撮りたかったし、魔界のことをもっと聞きたかったし、人間界のことももっと話したかったよぉ…ペルセちゃん」


 そう言いながら、泣くのを堪えてるような表情で、ミノトがこちらを見つめてくる。


 思わず釣られて泣きそうになってしまう。

 ーーーいや、もう無理だった。ペルセの目尻には、すでに涙が溜まっていた。


「…いつもならこのアホの言うことは真に受けるな、というところだが…今回ばかりは、俺も同意見だ」

「ダリス…」


 ダリスは表情を見られたくないのか、顔を反らしている。だが、その肩は明らかに震えていた。


「休日、楽しかったよね。ウサギとの触れ合いもしたし、スイーツも食べた。ダリスも入れて、三人で遊びたかったよね…」

「うん…」


 そう言いながら、ペルセは目尻にたまっている涙を拭き取る。だが、すぐに涙が溜まってしまう。


 何度も、何度も拭いた。だがそれでも、あとからあとから涙がたまり、零れそうになってしまっていた。


「ペルセちゃん、お迎えにあがりましたわ」


 しばらく三人で話をしていると、大通りの方から、お迎えとしてやってきたイアノの声が聞こえてくるのだった。

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