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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第九章 エスカンとドゥローラの会合

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論理の反射

 サトゥニアはゆっくり、木の箱を開き、中身を取り出す。


 中には、淡い魔力の紫光を放ち続ける、小さな欠片がある。これが、今日の会合前にサトゥニア達が言っていた、『餌』なのか。


「…ペルセ。あと一週間の留学だが、明日をもって最終日とする」

「えっ…!?そ、そんな…!!」


 サトゥニアから放たれた言葉は、あまりにも残酷だった。


 あと一週間、ミノトやダリスと一緒にいれると思っていたのに。ダリスを入れて、三人で遊びに行きたかったのに。


 あまりの衝撃に、ペルセは呆然とサトゥニアを見つめてしまう。


 もちろん、理由そのものは分かる。こんな組織が隣にいては安全性が、とか言うつもりなのだろう。話し合いにまで参加したのだし、それが分からないほどペルセもバカではない。


 ーーーだが、あんまりだ。


「魔王様…!理屈は分かりますが、それではあまりにも…!」

「安心しろ。『一時的に』帰還させるだけだ」


 イアノが抗議の声をあげる。だが、それに対するサトゥニアの言い方に、どこか気になる含みがある。


 一時的に、とはどういうことか。サトゥニアの中で、何か作戦があるのか。


 ーーー少し我慢すれば、またミノトと学校で会えるのか。ほんの少しの希望を持って、サトゥニアを見つめた。


「ラウラとやら。先に詫びておく。手土産を渡すタイミングが、遅れることになる」

「お構いなく。対価が欲しくてペルセさんを預かってるわけではありませんので」

「…助かる」


 サトゥニアはそう言うと、手に力を込める。すると、手に持っていた結晶が、バラバラに砕け散ってしまった。


「な…!?」


 レボルタはその様を見て、今日一番の驚きを見せていた。


 ペルセにはそんなレア物には見えないのだが、サトゥニア達が『餌』と呼ぶだけあって、それだけ欲しがっていたものなのだろうか。


「レボルタ・ドゥローラ。犯罪者は、自国民であれば自国に送り返すべきである。貴様はその認識をしてる、ということで間違いないんだな?」


 サトゥニアはそれでも感情を荒げることなく、目の前にいるレボルタに問う。

 レボルタは一瞬唖然としていたが、すぐに調子を戻したのか、また先程までの無礼な表情に戻った。


「当たり前だ。なぜ自分の国の民を、他所の国が裁けるというのか」

「…そうか」


 サトゥニアはそう言うと、ゆっくり立ち上がる。


 ーーー視線が、「帰るぞ」と言っている。ペルセとイアノはそれを察し、慌てて立ち上がる。二人に続くように、ラウラもゆっくりと立ち上がった。


 サトゥニアはレボルタ達に背を向け、ゆっくりと歩いている。その表情からは、何を考えてるのか読み取ることはできない。

 分かるのは、強い憤怒と失望。それだけだった。


「ソロモニアがドゥローラへと連れて行った悪魔の身柄、こちらに返してもらう。魔界から追放した悪魔だったゆえ、こちらも黙認していたが…貴様の論理であれば、国外追放という罰は、認められないようなのでな」

「…は?」


 サトゥニアはそれだけ言い残すと、そのまま応接間を出ていく。ペルセも、ヨルゼフとレボルタの反応を聞くことなく、サトゥニアについて出ていくのだった。

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