あるまじき態度
ーーー明らかに、空気がピリついている。確かに、レボルタの態度はかなり悪い。
だが、一触即発な空気にまでなってしまったのは予想外だ。ペルセはオロオロしながら、サトゥニア達を見つめてることしかできなかった。
「レボルタ陛下。この方々は他所からの客人なのだ。立場を弁えろと言うつもりはないが、あなたはドゥローラという国の代表として来ていることを、忘れないでいただきたい」
「ちっ…」
ヨルゼフは静かにレボルタへと声をかける。それに対し、レボルタはまだ何か言いたげであったが、渋々姿勢を正し、こちらに向き合った。
ーーー何とか、交渉のテーブルとやらにつけさせることができたようだ。それだけでも、一歩進んだのかもしれない。ペルセはホッとしながら、レボルタの方を見つめていた。
「…話し合いたい内容については、粗方手紙にも書いたとおりだ。レボルタ陛下」
「ソロモニアのことだろ?」
だが、テーブルにこそついたが、それでもレボルタの態度は悪い。ヨルゼフの問に対し、面倒くさそうな態度を崩すことはなく、鼻をほじりながら答えた。
不潔。子供である自分よりも、行儀が悪い。素の態度なのか、わざとなのかは分かりかねるが、どちらにしても酷い。
ラウラもイアノもサトゥニアも、その態度を見てもうすでに呆れてるようだ。だが、ヨルゼフだけはその態度に動じることなく、話を続けた。
「そうだ。我が国では、数百年ぶりの魔界との交流を行うため、その先駆けとして、ここにおられるペルセさんをエストラという魔術学校へと留学させている」
ヨルゼフはペルセを一瞥しながら、レボルタに説明している。まるで、子供を諭すかのような、穏やかな話し方だ。
だが、レボルタは欠伸をしながらそれを聞いている。
ちゃんと理解できているのか。そこが心配になってきた。
「だが、貴国と提携しているソロモニアが、ペルセさんを狙った。それについて、国の責任者であるあなたに話を聞きたい、とのことで、このような場を設けているのだ。レボルタ陛下、お分かりいただけてますか?」
「はいはい、分かりましたよー」
ヨルゼフは真っ直ぐにレボルタを見つめている。だが、レボルタはヨルゼフが説明を終えると、手をヒラヒラさせながら適当に返事をする。
「…真面目に聞いているんですか?」
「んぁ?」
我慢ができなくなったのか、ラウラが口を開いた。険しい顔のラウラに対し、レボルタは間の抜けた表情をしている。
「私は今でこそエストラの講師ラウラとしてここにいますが…数百年前に、ソロモニアに人生を破壊されかけた側です。そして今、ここにいるペルセさんという子供の人生までも壊しかけた」
「…あんたが、ラウラなのか」
ラウラの名前を聞いたレボルタは、急に真面目な表情になった。何か、刺さる部分でもあったのだろうか。
だが、そんな予想は、儚く裏切られることとなった。
「人生を破壊しかけるも何も、あんたこそドゥローラという国を一気に崩壊させかけた、裏切者じゃねぇか」
レボルタは冷たく、しかし本気でそう言い放った。




