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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第九章 エスカンとドゥローラの会合

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予想外の代表者

「…どうされたんですか?」


 絶句してしまった二人を見て、ラウラが不思議そうに声をかけてくる。だが、ペルセもイアノも、あまりの衝撃に返事をすることができなかった。


 魔界の代表者が来る、というのは事前にデメナからも聞いていた。だが、まさかこの人選で来ることは、まったく予想していなかった。


「サトゥニア、さん…!?」

「魔王様…!?」


 そこにいたのは、魔界を統べる魔王であるサトゥニア8世であったのだ。確かに代表者であることに間違いはないのだが、そんなサトゥニアが直々に人間界にまで来るなんて、誰が予想できただろうか。


「…そして、そこにいるのがラウラ、だったか」

「はい」


 サトゥニアは静かに、ラウラに顔を向ける。ラウラは状況をあまり分かっていないのか、普通に返事をしている。


「私は魔界で魔王をやってる、サトゥニアという者だ」

「…ラウラです。よろしくお願いします」


 そう言うと、二人はお互いに頭を下げる。


 すると、その光景を見ていたもう一人の男が、静かに咳払いをした。その音を聞き、ペルセ達はそちらを見る。


 そこにいたのは、明らかに人間ではない。スーツこそ着てはいるが、隠しきれない明るい茶色の体毛が体を覆っており、顔はチンパンジーのような動物の見た目が混ざっている。ダリスと同じ、獣人という種族だろうか。


「…よく来たな。好きなところに座ってくれたまえ」


 男はそう言うと、周りにいる部下達に命じ、ペルセ達をサトゥニアの近くの椅子へと座らせる。この男が、自分達を呼んだ国王なのだろうか。


 ペルセはふと、そんな男と対峙しているサトゥニアを見た。


 サトゥニアは父であるクロニオスと比べると若干細身だが、それでも服の上から筋肉質だと分かるような体だ。その顔付きも、相変わらず美形と言われる部類であり、強面なクロニオスとは真逆だ。


「…私はエスカン国王、ヨルゼフ・エスカンと申します。この度はご足労いただき、ありがとうございます」


 やはり、国王だったか。声をかけられ、慌ててヨルゼフの方へ視線を向けると、ヨルゼフは頭を下げていた。

 ペルセもそれに応えるように、慌てて頭を下げた。かつて、魔界の最底辺であったダスノムから出てきて、もう十年が経つ。さすがにその程度の礼儀は身に付いていた。


「…まだ、来ていない者がいますが」


 しばらくすると、ラウラが静かに口を開いた。


 ーーーどういうことだ。

 エスカンの国王ヨルゼフ、魔界の王であるサトゥニア、そして当事者である自分達。これ以上、一体誰が来るというのか。


 ラウラの言葉に対し、ヨルゼフは大きくため息をついた。


「お呼びはしていますが…悪魔の力に依存し、プライドだけが肥大化した今のドゥローラ国王が、国民に統治不足を自ら晒す、無様な姿を見せようとはしないでしょう」


 その言葉を受け止めると、ラウラは難しい顔をしていた。


 ヨルゼフの言ってることからすると、ドゥローラの国王は、あまりいい統治者ではないのだろう。


 ーーー悪魔に依存する。もしかすると、ソロモニアという組織とドゥローラという国は、ラウラが知る頃よりも、もっとズブズブの関係になっているのかもしれない。


 すると、ヨルゼフは自身のつけてる腕時計を見た。


「…定刻になりましたし、会合を始めましょうか」


 ペルセの思考は、その一言で中断された。


 ーーーいよいよ、人間界と魔界の、代表者同士の話し合いが幕を開けるのだった。

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