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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第九章 エスカンとドゥローラの会合

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エスカン王宮への道

 週末。


 エストラは休みであったため、本来ならラウラの家でのんびりするとか、ミノト達と遊びに行くとか色々できたかもしれない。


 だが、今ペルセがいるのは、ラウラの家でもエストラ学生街でもなかった。


「…まさか、またここに来ることになろうとは思いませんでした」


 ラウラは少し落ち着かない様子で、周りを見ている。だが、その隣にいるイアノは平然とした様子だった。


「まぁ…自分のいる王国の王宮など、政府関係者でもなければなかなか来ないですわよね」


 イアノはラウラを慰めるつもりだったかもしれない。だが、ペルセから見ても、何の慰めにもなっていないことは明らかだった。


 ここは、エスカンという国の王宮の中。ペルセ達はエスカンの国王に呼ばれ、三人で応接間へと向かっているのだった。


 王宮というだけあり、何だか厳かな中に豪華さも垣間見える装飾だ。普通なら、圧倒されてしまうかもしれない。


 王宮そのものには、魔界にあるサトゥニアの町にある王宮に何度も顔を出したことがある。そこには、いつも父クロニオスや母デメナがいてくれたため、王宮に行くことへの緊張は、ほぼない。


 しかし、ここは人間界。魔界の王宮と比べると、明るい配色が多く、少し眩しくすらあった。

 ーーーこれが、人間界と魔界の、王族の差というものなのだろうか。


「ラウラさんは以前、ここに来られたことがあるのですか?」

「ドゥローラからエスカンに避難してきた際に、難民申請や永住権の取得等の手続きをするために顔を出しただけです。それ以降は、一度も」

「なるほど」

「その際に、当時の国王様に謁見したのですが…数百年も経つ以上、もう世代交代してるでしょうね」


 ラウラはそう言いながら、少し寂しそうな様子だった。


 そんなことを話しながらしばらく歩いていると、一際大きな、良質な木の扉が見えてきた。


 ーーー応接間。ここに、王がいる。ペルセですら、直感的にそう感じてしまうほど、立派なものだった。


 ラウラは扉の近くにいる警備員に、静かに声をかけた。


「…すみません」

「何者だ」

「本日十時より、国王ヨルゼフ・エスカン様との会合を申し込まれていたラウラです」

「…あぁ!」


 ラウラがそう告げると、警戒心を見せていた警備員の態度が、一気に柔らかくなった。


 ーーー露骨な掌返しだ。もちろん警備として見知らぬ者が来たら警戒するのも分かるが、あまり気分の良いものではなかった。ペルセは内心で、そんなことを考えていた。


「…お話は伺っております。国王様は、この中にいらっしゃいます。どうか、ご無礼なきように」

「お気遣い、ありがとうございます。失礼いたします」


 ラウラは軽く会釈すると、木の扉をゆっくりと押した。

 ギィ、と重い音を立てて、扉が開いていく。扉の軋む音が耳に入るたびに、ペルセは息を呑んでいた。


 扉の先には、王宮の応接間らしくきらびやかな光景が広がっている。だが、魔界の王宮と比べると、色合いこそ明るいが装飾は控えめで、派手さはあまりない。


 何より目についたのは、応接間にある円卓だった。素人であるペルセが見ても分かる、良質な木で作られた、大きな円卓。魔界にも似たようなものはあるのだが、人間界でもこのようなものを使う文化があるのか。


 その円卓を、二人の男が囲っているのが見える。ペルセ達が扉を潜ると、その二人がこちらへと視線を向けてきた。


「…ペルセ、イアノ。無事で、何よりだ」


 その顔を見て、ペルセとイアノは驚きのあまり、声を出せなくなってしまった。

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