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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第九章 エスカンとドゥローラの会合

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エストラの日常

 翌日。


 今日もエストラでは、日常が繰り広げられている。

 昨日の事件がまるで嘘であるかのように、エストラ五年三組は、いつも通りのやかましさを保っていた。


「ねー、今日の放課後、遊びに行かない?」

「え、え〜…今日はちょっと、都合が…」

「なんでー」


 クラスの中心で、ミノトが他のクラスメイトと話をしているようだ。

 普段ミノトをたしなめる側のダリスが、今日は日直の仕事に行っており、ミノトを止める者がいない。しかもミノトは、相手の都合をあまり考えていないようだ。


 ーーーもう、見慣れた光景だ。ペルセは呆れたようにため息をつくと、ミノトに近寄った。


「ミノト」

「あ、ペルセちゃん!」

「向こうが困ってる。またダリスに怒られちゃうよ」

「ふぇ?」


 ミノトはペルセにそう諭され、ようやく相手の反応を見たようだった。相変わらず、人の話をあまり聞かずに爆走する子だ。


「ごめんね、ミノトちゃん。私も遊びたいんだけど、今日は習い事がさ…」

「え、あ、そうなの?」

「今度埋め合わせするから」

「しょうがないなー」


 言葉に詰まっていた相手が、ようやく言葉を紡げた。それを聞いて、ミノトはようやく納得したように引くことにしたようだ。


 ーーーミノトのペースに合わせていては、身が持たない。この二週間ほどて、何度も感じていたことだった。


 そんなことを考えていると、ミノトが勢いよくペルセの方へ顔を向けてきた。


「じゃあさ、ペルセちゃんの都合はどう!?」

「私?放課後は無理だよ…?」

「じゃあ週末!この前みたいに遊ぼうよ!!」


 ミノトにそう言われ、ペルセは考え込む。

 放課後については、今日もイアノと共に帰ることになるだろうから、寄り道などできない。


 だが、週末だとまだ分からない。もしかしたら、『昨日の一件』のことで、呼び出しがかかるかもしれない。


 無論、本音を言えばミノトと遊びたい。この前のように、ウサギとふれあったり、スイーツを食べたり、プリクラを撮ったりしたい。特にプリクラについては、今もペルセがいつでも見れる場所に、大切に保管している。


「う〜ん…週末も、ちょっと分からないかな…ごめんね、ミノト」

「えー!?ペルセちゃんまでダメなの!?」


 だからこそ、こんな半端な断り方しかできなかった。それが、ものすごく歯痒かった。


 当然、ミノトは不満そうだ。そんな顔をさせてしまうのも、心苦しい。

 だが、断言して後からひっくり返すことをしたくはなかった。


「ペルセちゃぁん…ホントに、何とかならない?」

「やめんか、このバカチン」

「あぎゃん!!」


 食い下がろうとするミノトの頭に、戻ってきたダリスのチョップが炸裂した。相変わらず、異性であるにも関わらず、ミノトには容赦がない。


 ミノトは頭を抑えながら、ダリスを睨んでいる。だが、当のダリスも悪びれておらず、むしろミノトを見て呆れた様子だ。


「そもそもお前、週明け提出の宿題が、まだ手付かずじゃねぇか。遊んでる場合なのか?」

「…ダイジョウブダヨ」

「目を逸らすな、バカ」


 ダリスはそう言いながら、ミノトの顔を鷲掴みにする。ミノトはそれに対し、両腕をバタバタ上下させながら、抗議の声をあげていた。


 ーーー穏やかな、五年三組の光景。自分の周りが大変であっても、この光景だけは、崩したくはない。


 そう、心に願うのだった。

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