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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第八章 ソロモニアとの激突

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ヴァーレアからの信頼

「…えげつないね…」


 ラウラの精神世界から状況を伺っていたヴァーレアは、思わずそう呟いていた。その言葉を聞けるのは、ラウラだけしかいない。


 だが、それでも言わずにはいられなかった。


「そうですね…」


 普段から合理的なラウラも、少し引き気味のようだ。

 今のイアノは冷静且つ、苛烈。冷たい炎が燃え盛っているかのようだ。


「姉様、昔からこういう一面あるんだよね」


 だが、ヴァーレアは知っていた。イアノが今日この瞬間に変わったわけではない。自分やペルセが巻き込まれた、ということもあるだろうが、元からその素質はあったのだ。


 それを知ってるからこそ、イアノが次にとるであろう行動も、予想ができた。


「…ランちゃん」

「なんですか?」

「肉体を、貸してくれない?」

「えっ…」


 だからこそ、ヴァーレアは肉体の主導権を一時的に請求した。


 ラウラの肉体を介し、、ヴァーレアが全面的に前に出るという動作。それ自体は、今までにも何回もやってきたものだ。


「ですが、それを行うと、アナタの存在がソロモニアに…」

「姉様のことだ。おそらく、魔界側における一番の被害者のボクを無視しないと思う」

「ヴァーレア…」

「ましてやボクは妹だ。絶対に聞いてくる」


 これは、姉妹として長く見てきたからこその、経験則。理屈も理論もない、ただの推測に過ぎない。

 だが、それでもヴァーレアはあえて断言した。イアノなら、自分を絶対に無視しないという確信があった。


 普段なら、ロジックを重要視するラウラを相手に、こんな理屈も何もない提案をしても一蹴されるだけだ。


「…わかりました。こればかりは、アナタ達の、姉妹の絆を信じますよ」


 だが、ラウラはあっさりと折れた。ヴァーレアが拍子抜けするほどに、あっけなく。


「…深く聞かないの?」

「聞いてどうするんです?アナタが言ってるのは研究ではなく、姉妹のやり取り。ならば、私よりもアナタ自身のほうが、よっぽど理解してるでしょう」


 ラウラのその言葉が、なぜだか無性に胸に刺さる。ヴァーレアはしばらく、言葉を発することができなかった。


「…何より、ソロモニアの連中に一番色々言いたいのは…あなたでしょう?」

「…そうだね」


 ヴァーレアはそう言いながら、精神世界から出る。ラウラの肉体に、ヴァーレアの意識を宿すために。


 銀髪の髪が紫色に染まり、気怠げな目つきは元気な目つきへと変わる。何度も何度も、何ならペルセ達の前でもやったことがある、意識の入れ替わり。


「…ランちゃん…ありがとう」


 ヴァーレアはゆっくりと、目を開いた。

 精神世界から見ていた時と何ら変わらない、イアノがソロモニアの魔術師達を、魔力鎖を手繰り寄せて引っ張っている光景が広がっている。


「さて、一番の被害者に話を聞こうかと思いましたが…。すでに、準備はできているようですわね、ヴァーレア」

「やっぱり、姉様ならそうすると思ってたよ。姉様みたいに魂の揺らぎなんて見なくても、分かってた」

「さすがですわ」


 やはり、イアノの行動は予想通りだった。そして、イアノもヴァーレアの行動を見抜いていたようだ。


 ーーー何百年も経つと言うのに、姉妹での息が合いすぎている。我ながら、驚きだ。


 ヴァーレアは思わず、小さな笑みをこぼすのだった。

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