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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第八章 ソロモニアとの激突

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技術模倣

 イアノはソロモニアの魔術師の軍団と対峙している。


 その後ろで、ペルセがラウラを牢獄から救い出している。技巧も何も使わずに拘束術式の魔力を破壊しているが、クロニオス由来の魔力を受け継ぐペルセなら、驚くことでもない。


 ーーーラウラの纏っていたあの異常な挙動を示す魔力すらも『制圧』してしまったのには、さすがに驚愕ではあったが。


 とはいえ、あの魔力はイアノですらも見たことがない。事が落ち着いたら、ぜひともラウラに話を聞きたいものだ。


「お二人とも、可能なら飛び道具で支援をお願いしますの」

「任せて!!」


 ラウラの安全を確認したイアノは、そう声をかける。さすがにイアノをもってしても、この人数を一人で相手するのは、骨が折れる。

 だが、後ろにラウラと、そして最強クラスの大砲でもあるペルセがいるなら、話は別だ。


 このままペルセを待機させておくことは、本人の意志にも反する。ならば、前には出すことなく、その大砲の性能を存分に活かしてもらうまでだ。


「さて…アナタ達の行った罪の、清算のお時間ですわ」

「罪、だと…!?」


 イアノはゆっくりと、距離を詰める。イアノの言葉に、ソロモニアの魔術師達は不服そうな声をあげる。


 この期に及んで、まだ分かっていないようだ。ならば、分かるように優しく教えてやるまでだ。


「魔界側から見たアナタ方の罪は、大きく三つ」


 イアノはそう言うと、静かに指を立てて、きちんと区分分けした説明をし始めた。


「一つ、魔界から一人の悪魔を、私の妹を拉致したこと。二つ、その妹を庇ったラウラさんに危害を加えたこと。三つ、私達をも捕らえようとしたこと」


 懇切丁寧に、穏やかに言葉を紡いだ。思った以上に冷淡な声色になってしまったのは、やはり妹であるヴァーレアが被害にあったことによる、怒りもあるかもしれない。


 だがそれでも、イアノは怒りを表に出さないようにしていた。

 相手が罪を自覚しなければ、それを清算する意味はない。そう考え、優しく諭したつもりだった。


「…それがどうした!!人間界に召喚された悪魔は、使い魔として使われるのが定め!!貴様らがどのような悪魔かなど知らぬ!!」


 そう言いながら、再び魔術師達は魔力弾を練り上げ、何発もこちらに向けて撃ってくる。


 相手の魂魄の揺らぎから見える感情とともに、読めていた展開ではあった。対応しようと、イアノは手をかざそうとした。


 だが、対応する必要はなかった。背後から白色の魔力が散弾銃のようにまき散らされ、全ての魔力弾を撃ち抜き、霧散させていたからだ。


「…ホントに、成長しましたわね、ペルセちゃん」


 思わず、静かにそう呟く。


 十年前のあの時。リドン達の軍勢に囲まれ、ペルセの感情メーターが振り切れ、想定外の実戦になったあの時とは違う。

 今回は、本人が望んだ実戦で、成長を確認できているのだ。こんなの、喜ばないわけがない。


「くそっ!撤退だ!このままでは…!!」

「とはいえ、人間界に来た収穫は、ありましたわね」


 イアノはそう言うと、自身の魔力を紐状に伸ばし、その場にいる全員の足へ、魔力をフックのように引っ掛ける。足を動かせないため、情けなく転ぶ魔術師も何人かいたが、そんなものは気にもならない。


「アナタ方の作られた拘束術式、あの魔力鎖は大したものですわ。私が大の男をこれだけの人数相手取ってもなお、拘束が可能なのですもの」


 先程解析した魔力鎖に、少しばかり自分なりの簡単なアレンジを加えて、ひっかけたに過ぎない。ぶっつけ本番ではあったが、上手くいったようだ。


 イアノは鎖を辿り、魔術師達を強引に自分の元へと引き寄せていった。

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