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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第八章 ソロモニアとの激突

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拘束術式破壊

「な、なんだ…」

「今、何が起こった!?」


 ソロモニア側も、明らかに戸惑っている。

 だが、それはそうだろう。ラウラですら何が起きたのか、完全には分かっていないのだから。


 先程ラウラは、言ってしまえば腕ずくで拘束を無理やり緩め、その隙間から抜け出すような形で拘束から逃れた。


 だが、ペルセのものは明らかに違う。解析もしていない。力をかけてもいない。ただ、ペルセは魔力を放出しただけにしか見えない。

 ーーーにも関わらず、拘束術式の魔力そのものが完全に無力化されてしまっていた。


 しかも、その魔力はペルセの周りだけにとどまっており、すぐ隣のイアノにすら届いていない。そのことから、感情的に暴走させているわけではないことも分かる。


「お姉ちゃんの言った通りだったよ!お父さんからもらったこの魔力、人間界でも通じた!」

「ふふ、よかったですわね」


 そんな異常を起こしたペルセは、未だに拘束されたままのイアノに向けて、無邪気に声をかけていた。イアノはペルセに対し、穏やかに微笑んでいた。


「まぁ少しお待ちください。もうすぐ『分解』が終わりますから」


 ーーー何と言ったのか。

 聞き間違いでなければ、分解が終わる、と言ったのか。ラウラですら、解析こそできても分解することはできないほどの、強固な拘束術式だというのに。


「ハッタリを…っ!!」


 ソロモニアはそんなイアノの言葉を受けて、激昂してイアノに魔力弾を放たれた。


 まずい。直撃してしまう。ラウラは何とかして、必死に自身を閉じ込める拘束術式を破壊しようと試みる。だが、やはり力でどうにかなるほど脆いものではなく、解体するにしても、あまりに複雑過ぎて解く事など、ラウラには不可能だった。


「くっ…開かない…っ!!」

「硬い…!!」


 ラウラとヴァーレアは魔力の出力をさらに引き上げ、何とかこじ開けようとしていた。だが、ビクともしないとまではいかずとも、ラウラが通れるような穴が開くことはなかった。


「お姉ちゃん!!」


 その射線上に、白色魔力を纏ったペルセが割り込んだ。そして手を突き出し、飛んでくる魔力弾に手を触れた。


 その瞬間、魔力弾はやはり、ペルセの魔力の前で存在を許されなかったかのように、砂のように儚く消えてしまっていた。


 ーーー受け止める必要すら、ないというのか。同じ魔力を使用する者として、決して敵に回したくない相手だ。


「…全く。誰に似たんでしょうかね」


 呆れたようにイアノが呟いている。だが、イアノを拘束している鎖に、亀裂が入り始めていた。


 ーーーまさか。


「ま、まずい…!!」

「どうした!?」

「拘束術式が…魔力鎖が、『解体』されてます!!」

「なに!?」


 ソロモニアの魔術師達はもはや、大パニックに陥っている。何百年とかけて研究と改良を重ねてきたであろう拘束術式を、ペルセの未知の魔力で破壊された上、イアノに解体されそうになっているのだ。当然のことだろう。


「…針の穴ほどの、わずかな綻び。普通なら気付かないでしょうね。ですが…」


 イアノは静かにそう呟く。だがその反面、拘束している魔力鎖はもう、限界を迎えてるようだった。


「私の前では、全くの無意味ですわよ」


 そう言うと、イアノを拘束していた魔力鎖は木っ端微塵に飛び散ってしまった。

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