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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第八章 ソロモニアとの激突

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イアノのお迎え

 放課後。


 ペルセは下駄箱の前で、ミノトと談笑していた。話題は専ら、イアノのことについてであった。


「あのお姉さん、美人だよねー!私もああいう女になりたいなー…」


 今日の移動教室の時にイアノを直接見かけてから、ずっとこの調子だ。ヴァーレアに釘を刺されたこともあって、素性を探ることは辞めたようだが、その容姿に関して惚れ込んでるようだった。


「…美人なの?」

「美人だよ!あんな綺麗な人、私初めて見たもん!」


 ミノトは興奮したように言っているが、ペルセにはどうにもピンとこなかった。


 確かに、化粧や服装へのこだわりは強い人ではある。だが、それは名家の令嬢としての嗜みだ、と本人が言っていたし、そもそも今のイアノは見た限りすっぴんだ。


「私も絶対、イアノさんみたいないい女を目指す!」

「じゃあまずは、そのガキっぽい性格から矯正しねぇとな」

「何おう!!」


 ミノトが決意を表明すると、それに水を差すようにダリスがツッコミを入れてきた。


 ミノトはそれに噛み付いたようだが、ペルセもダリスに同意だった。別に今のミノトが可愛くない、というわけではないのだが、イアノとは方向性が全く違っている。


「ペルセちゃん」


 そんなことを思いながら二人の言い合いを見ていると、噂していたイアノから声をかけられた。

 移動教室の際に見かけた時から姿は変わっていない。その脇には、分厚い本が抱えられている。待ってる間、ずっと読書でもしていたのだろうか。


「イアノお姉ちゃん!」

「ふふ、帰りましょうか」


 ペルセがイアノの元へと駆け寄ると、イアノはペルセの頭にそっと手を添えながら、優しく声をかけてきた。


 今までは校門の前で待ってることが多かったイアノだが、今回はなぜだか校内の下駄箱にまで来ている。校内で何かあったのだろうか。


 不思議には思ったが、イアノの撫で方が心地良く、何だかどうでもよくなってしまった。


「ん?そこのお二人は、お友達ですか?」


 すると、イアノはミノトとダリスの存在に気付いたようで、そちらへ視線を向ける。視線を向けられたミノトは背筋を伸ばしていたし、ダリスでさえも少し顔を赤くしながら目を逸らしていた。


「そうなの!ミノトとダリス!学校でよく話すし、ミノトとはこの前二人で遊びにも行ったんだよ!」

「あらあら、そうなんですのね」


 ペルセがそう教えると、イアノの頬が緩んだようで、口角が少し上がっていた。


 そして、二人に対し、軽く会釈をした。


「いつもペルセちゃんがお世話になっておりますわ。デメナ様…いえ、この子のお母さんの代わりに、お礼を言わせていただきますの」

「ア…イエ…」


 ミノトとダリスが、面白いくらいに固まっている。そんなに緊張するのだろうか。ペルセはその光景を見て、噴き出しそうになるのを堪えていた。


「ところで、ダリス君は人間ではないようですわね」

「え?…あぁ、僕は狼の獣人なんです」

「あら…多種族の通う学校だと聞いておりましたが、本当でしたわね」


 ダリスが面食らったように答えると、イアノは再度クスリと笑う。


「これからも、ペルセちゃんと仲良くしてくださると助かりますわ」


 イアノは優しく、二人へ声をかけた。だが、ミノトもダリスも、それに対しカクカクと頷くしかできないようだった。


 イアノはそれを確認し、静かに微笑みながら、ペルセの元へと戻ってきた。


「さ、帰りましょうか、ペルセちゃん」

「うん!じゃあね、二人とも!」


 ペルセはイアノと手を繋ぎながら、二人に向かって手を振った。だが、それでも二人は固まったままだった。

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