↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第八章 ソロモニアとの激突

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
285/402

ヴァーレアの誤魔化し

「せ、先生…!?」


 いきなり現れたラウラに、ミノトが驚きの声をあげる。


 今は昼休み。基本的にラウラは職員室で仕事をしている時間帯のはずだ。だが、目の前にはラウラがいる。


 ーーー否。いつもの銀髪が薄い紫色に染まっているし、普段の猫のような気怠げな目つきは、まるで無邪気な子供のように開かれている。


「ヴァーレア…さん…」

「え?」


 見た目こそほぼラウラだが、中身は完全にヴァーレアに入れ替わっている。留学の初日に一度だけ見た、ラウラの肉体を借りて表に出てきた時の姿だった。


 あまりに印象が変わりすぎてて、わずかな時間だったのにも関わらず、その時の衝撃が頭に残っていた。


「え、ヴァーレア先生!?何で小学部に!?」

「えぇ!?ラウラ先生じゃないの!?」


 ダリスとミノトが大きな声をあげる。


 ヴァーレアは小学部での授業を持っておらず、高等部以上で難しめの講義を担当している、とラウラから聞いたことがあった。


 ダリスとミノトは驚いたようだが、そんな二人を気にすることなく、ヴァーレアはケラケラと笑っている。


「それで、何を話していたんだい?」


 ヴァーレアがそう聞くと、ミノトとダリスは少し気まずそうに顔を見合わせた。普通に話していたら、いきなり大人に声をかけられたのだ、ペルセも同じことを両親からされたらドキッとするであろう。


 そのためか、ミノトとダリスは、ヴァーレアの質問に答えようとはしなかった。


「あの、イアノお姉ちゃんのことについて…」

「…あぁ〜…」


 ペルセが答えると、ヴァーレアは納得したような反応をした。


「ボクの、実の姉だよ」


 ヴァーレアが軽く言ったその一言が、ミノトの興味を強く惹いたようだ。ミノトはものすごい勢いで、ヴァーレアの方へ体ごと向けた。


「え、えーっ!?ヴァーレア先生のお姉さんなんですか!?」

「そだよ。でも、これ以上は言えない」


 ヴァーレアはそれだけ答えた。

 だが、こんな言い方をされて、好奇心の塊のような存在であるミノトが止まるわけがない。そんなことは、ペルセにも予想ができた。


「な、何でですか!?」

「魔界のご令嬢には、色々と面倒くさい規定があったりするんだよ…」


 案の定、ミノトは納得できずにヴァーレアへと噛み付いた。それに対し、ヴァーレアは何とか煙に巻こうとしていることが、ペルセにも伝わってきた。


 だが、そんなミノトの肩へ、ダリスが軽く手を添えている。その表情は、かなり険しかった。


「ミノト…。お嬢様ご本人が言ってるんだぞ」

「え?お嬢様はイアノさんじゃないの?」

「…ホントにお前は相手の話を聞いてねぇな」


 すっとぼけたような態度をとるミノトに、ダリスは大きくため息をついた。


「ヴァーレア先生は、イアノさんが自分の姉だと言ったんだぞ?つーことは、ヴァーレア先生も、だろうが」

「え?…あーーーっ!?」

「俺等には分からん色んなもんがあるんだろ」


 ダリスに言われて、ようやく気付いたようだ。その反応を見て、ヴァーレアはホッとしたように一息をついた。


「そういうこと。ボクらの、特に魔界から来てる姉様については、あまり深く探るのはやめてね」


 ヴァーレアはそれだけ言うと、そのまま教室から出ていった。ミノト達は、その様子を見つめているだけだった。


 ーーー正直、かなり助かった。

 ソロモニアの件について言うわけにもいかなかったし、ミノト達を巻き込むつもりもなかった。ヴァーレアが来てくれなければ、うまく誤魔化せなかっただろう。


「…何か、すごい人だったんだなぁ…」


 ミノトが小さく呟く。その横で、ダリスが頭を抱えている。


 やはり、ミノトはしっかりとは理解しているようには見えない。だが、今回ヴァーレアが口を挟んだことで、誤魔化し方は分かった気がする。


 ーーー次に同じこと聞かれたら、ヴァーレアのように煙に巻こう。ペルセは、そう決心するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。