ペルセへの質問攻め
昼休み。
給食を終えたミノトの視線が、ペルセの方へと注がれている。
何だか、居心地が悪い。隣の席にいるミノトの目も見開かれており、普段はミノトをたしなめる側であるダリスも、今回は止める気がないらしい。
「さて、ペルセちゃん。私たちが聞きたいことは分かってるよね?」
ミノトはペルセに掴みかからんとする勢いで、身を乗り出してきた。移動教室の際に言われていたので予想はしていたが、なぜそこまで気にするのか。
ーーー給食中も考えてみたが、結局分からなかった。
「あの人、ここ数日校内で見かけてるんだけど」
「うん、そうだよね」
「そうだよね、って…やっぱり知り合いなの!?ペルセちゃんのお姉ちゃんなの!?」
「知り合いというか…」
改めて、イアノとの関係を振り返る。
母親の知り合いで、自分を可愛がってくれる年上の女性なので、「お姉ちゃん」と呼んでいるだけに過ぎない。
「…うーん、お母さんの知り合い?弟子というか、部下というか…」
そのため、このくらいしか説明ができなかった。だが、その言葉に反応したのがダリスだった。
「母親の知り合いなのか?」
「うん。私のことすごく可愛がってくれる、優しいお姉ちゃんなんだ」
ペルセは素直に答えると、ダリスは軽く息を吐いた。
何か、納得いかないところでもあったのだろうか。自分としては、何一つ嘘をついてるつもりはないのだが。
「あのお姉さんって、どんな人なの!?ペルセちゃんとはどういう関係なの!?」
「…さっき言ってただろ。話ちゃんと聞けアホ」
ミノトが食い付くのを、ダリスが呆れながらその腕で抑える。やっぱり、ミノト一人ならともかく、ダリスと共にいる時では、話の理解をダリスに丸投げしてるようなところがある。
「どんな人って…何か、魔界だとすごく有名なお嬢様なんだって。私、よく分からないけど」
「あの人お嬢様なの!?」
これも、どこかで聞いた程度の情報に過ぎない。イアノ本人や両親達に聞いても、それとなくはぐらかされるだけで、詳しく聞くことはできなかった。
だが、その情報だけで、ミノトが大声をあげた。そんなに驚くことなのか。ペルセにはいまいち分からなかった。
「待て。何でそんなヤツが、わざわざ魔界からエストラに来てるんだ?」
「えーっと…」
ダリスから聞かれたが、こればかりは断じて言えない。
ソロモニアが動いている一件については、ラウラの過去に深く踏み込む話であるうえ、「内緒にしておきなさい」とイアノやラウラから厳命されている。
だが、聞かれてしまった以上、どう言い訳すればよいのか。ペルセは、言葉に詰まってしまう。
「確かに!そんな魔界でも有名なお嬢様なら、周りにゴツいSPさんとかいたりするんじゃないの!?」
ミノトはそう言うと、いきなり立ち上がって窓際に駆け寄って、外をキョロキョロ見回し始めた。
SPとは何なのか。質問攻めにされてる最中なのに、ペルセはそんなことが気になってしまっていた。
「ミノト。あとで探せあとで。つかそんなもんいたら、探さなくても分かるだろ。」
「え〜…」
ミノトは不満そうにしながらも、ダリスの言うことに素直に従った。やはり、ミノトの中でダリスの言葉は強いようだ。
ミノトは大人しく席へと戻っていった。
「…で?イアノさん、だったか?その人は…」
「おやおや君たち。何だか面白いこと話してるねぇ、ボクも混ぜてよ」
ダリスが再び口を開こうとしたその瞬間、クラスの担任講師であるラウラが、話に割り込んできた。




