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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第七章 迫りくるラウラの過去

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過去話、終幕

 現代ーーー。


 ペルセはラウラの家で、ラウラの昔話を聞いていた。


 思っていたより、大分重たかった。

 ソロモニアという組織とラウラの、深い因縁。果ては、ドゥローラという国との因縁まで絡んでくるとは思わなかった。


「…そしてその後、私はエスカンに無事受け入れられ、今ではこうやって、エスカンという国の学校であるエストラ講師として働けてる、というわけですね」


 ラウラは一貫して淡々と話を続けている。特に感情を込めることもなく、ずっと落ち着いている。


 ーーー明らかに、そんなテンションで話していい中身ではなかったと言うのに。実際、ペルセの隣で話を聞いていたイアノも、驚きを隠せないようで、口元を手で覆って驚いた様子を見せている。


「ですが、ソロモニアはあの頃から、何も変わっていないようです。私もしばらく動向を追っていましたが、私がエスカンに亡命したことで手を出しにくくなっていただけで、何一つ諦めていないですね」


 ラウラは少し呆れたようにため息をつく。


 ペルセには、不思議だった。

 マールのように、心の底で悲鳴をあげ続けていたわけでもない。なのに、こんなに冷静でいられるのは、いったいなぜなのか。


 すると、イアノがゆっくりと口を開いた。


「…ヴァーレアを強制的に召喚した一件で、魔界も数百年の間、人間界との交流を閉ざしましたからね。自ら人間界に入った者を捕縛、という形ですらありませんでしたし」

「うん。ボクも、それを後から知ったんだよね。でもまぁ、その時にはランちゃんとの共同生活が楽しかったし」


「ねっ?」と言わんばかりにヴァーレアがラウラに満面の笑みを向ける。しかし、ラウラはそれに対し、ウザったそうな表情を浮かべるだけだった。


「そういえば、ラウラ先生」

「何でしょうか?」

「ラウラ先生って、いくつなんですか?」


 その質問をした途端、空気が凍った。


 だが、気になってしまったのだ。


 ラウラの過去は数百年前の話、ということだった。ヴァーレアは悪魔なので、数百年程度生きてることは問題にならない。しかし、ラウラは人間だ。人間は百年程度しか生きられないと聞いていたのに、目の前にいるラウラは、数百年生きてきた人間だという割には若々しい。


 隣に座るイアノが、若干焦ったような様子を見せている。


「ぺ、ペルセちゃん…!お相手は女性ですわ!女性にそのようなことを…」

「構いませんよ。そこも、契約の影響を受けているところでもありますしね」


 だが、イアノとは対照的に、ラウラは咳払いをするだけで、特に怒ることはなかった。


「これは推測の部分もありますが、ヴァーレアと契約を結んだことで、私の魔力、ひいては生命力や体質的な部分まで、ヴァーレアのものに近いものによってるようです」

「そんなことあるの!?」


 そんな話は聞いたことがない。

 だが、ラウラが嘘をついてるとも思えなかった。


 すると、ヴァーレアがケラケラ笑いながら声をかけてきた。


「ハッキリした年齢はさすがに言えないけど、少なくとも三百くらいはいってるんじゃないかな?」

「ほぇ〜…」


 悪魔としてはそれほど年を取ってる方ではない。だが、人間として見ると、長生きなどというものではない。


「…しかし、今になって動き出すとは…余程、ペルセちゃんの魔力の巨大さに目が眩んだのでしょうかね…」

「多分、そうだろうね。ペルセ様の魔力、ボクよりも格段に強いから」


 ペルセが感心していると、イアノとヴァーレアが話を本題へと戻した。ペルセも思わず、姿勢を正す。


 そうだった。今は、ラウラの歴史や年齢をゆっくりと聞いてられる状況ではなかった。ラウラの過去に強い因縁があるソロモニアが、自分とラウラを狙ってきている。


 だらけてる場合では、なかった。

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