↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第七章 迫りくるラウラの過去

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
272/402

ラウラの過去⑨ 逃亡先

 まばゆい光が収まってくる。転送を何度やっても、この瞬間には慣れない。


 ラウラはゆっくりと目を開ける。そこには、ラウラにとっては見慣れてる、私的な隠れ部屋の光景が広がっている。


 ーーーそういえば、しばらく片付けをしておらず、かなり散らかっている。ヴァーレアもいる以上、片付けをした方がよいのか。


 そんなどうでもいいことを考えていると、隣にいるヴァーレアが声をあげた。


「え、何ここ…。どこなの、ここは!?」

「静かにしてください」


 戸惑う気持ちは分からなくもないが、まずは休ませることからだ。ラウラはヴァーレアを半ば無理矢理、部屋の中にあるベッドへと押しやった。


 少し埃っぽいかもしれないが、贅沢は言ってられない。悪いが、我慢してもらうしかなかった。


「…ここは、国王達も知らない、私の隠れた研究室の一つです。元々は王宮が災害等で滅びた時などに備えた、研究データのバックアップ用に整備した場所だったんですが…」


 ラウラは説明しながら、部屋の中にある端末に自身の魔力を流し込み、起動させる。型番としてはやや古めだが、まだ問題なく動くようだ。


 だが、ここで研究に取り組むつもりはない。器具や装置が足らないというのも理由の一つだが、それが一番の理由ではない。


「とはいえ、特に捜査撹乱の加工はしていないので、国王達が本気で調べればここを見つけることはできるはずです。もって一ヶ月、といったところでしょうか」

「一ヶ月…?その間に、どうするんだい?」

「まずは、あなたの体力回復を優先します。さすがに数日では見つからないくらいの深い場所なので」


 ラウラはデータのバックアップがあることを確認し、端末そのものを魔力で圧縮した後、袋の中へとしまい込んだ。


 そして、部屋の中にある食糧庫を開ける。

 そこにある食料は、新鮮味はなさそうだが、腐ってはいない。数日程度なら、籠城もできそうなくらいに備蓄があった。


 ラウラはその中にある大きな袋を手に取り、その場で開ける。

 中には、乾パンが袋に小分けされて入っている。その中の一つを取り出し、ヴァーレアへと投げ渡す。


「うぉ、ちょっ…」

「あなたの体力が戻り次第、ここを出ます。飲食に困らない程度の備蓄はありますが、贅沢は言えません」


 ラウラはそう言うと、水の入ったボトルの蓋を開け、ゴクゴクと飲み始める。当然美味しくはないが、水分補給ができるだけありがたい。


 ヴァーレアはその様子を呆然と見ている。その視線に気づいたラウラは、ボトルを口から離し、ヴァーレアの方に体を向けた。


「…なんですか?」

「いや…何で、ここまでするのかな、って…」

「どういうことです?」


 質問の意図が分からない。

 不思議に思いながら、ラウラはヴァーレアの言葉を促した。


「いや…だってキミは、ボクを召喚して抑えつけようとした連中の側だったんでしょ?なのに、その連中を裏切ってまで…」

「…私は元々、あの連中を信用していませんでした」


 ラウラが何気なく発した言葉に、ヴァーレアは目を見開いていた。

 そんなに、おかしなことだろうか。ラウラにとっては、何一つ嘘をついていないと言うのに。


「もちろん、私なりのロジックはありましたが…単純に、悪魔側の意志を無視してる前提に納得いかなかっただけです」

「ラウラ…」

「正義に燃えてるだとか、義憤にかられてだとか、そういったことではありませんからね」


 そこだけは、念を押しておいた。

 自分の行為が正義である、とは思っていない。むしろ自分の中にあるロジックで納得ができなかった、というだけの話だ。


 それがヴァーレアからどう見えるかまでは分からないし、興味もなかった。


「…キミ、変わってるって言われない?」

「言われますけど。それが何か?」

「変わってるよ、ホントにね」


 ヴァーレアは苦笑いしながら、乾パンをかじり始めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。