↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第七章 迫りくるラウラの過去

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
270/403

ラウラの過去⑦ 反逆と回復

 魔力が一気に霧散し、その場には土埃と魔力の残滓、そして倒れてる魔術師達と腰の抜けた国王だけが残っていた。


 魔術師達は魔力切れで倒れただけのようであり、触診してみたところ、特に大きな怪我は見当たらない。少し手当てをすれば、問題なく動けるであろう。


「ら、ラウラ…今のうちに、その悪魔を私の方へと…」


 国王は腰を抜かしながらもなお、悪魔の身柄を要求している。実に、情けない姿だ。


「…陛下。アナタにこの悪魔の身柄を渡したとして、どうするおつもりで?」

「決まっているだろう!我々の国の奴隷とする『契約』を結ばせるのだ!!」

「契約…」


 人間と悪魔との間の契約。それは、通常の契約とは意味が違う。


 悪魔にとっての契約という言葉は、その人間への隷属を意味する。契約内容によっては悪魔が主体で契約を結ぶこともあるが、ソロモニアや国王の態度からして、それは期待できない。


「…正気ですか…?何の罪も犯してない悪魔を奴隷とするなど…」

「それの何が問題なのだ!!奴隷としてあれほどの力を振るう悪魔を使えれば、私は、いや我が国は、最強の抑止力を持つこととなる!そうなれば、お前もますます研究に専念できるだろう!!」


 ーーー無理だ。この国王は、すっかり汚染されている。

 ラウラは回復用の魔力を、掌に込める。


 それを見て、国王が歓喜の表情を見せた。


「おぉ…何だかんだ言いながら、助けてくれるのか…!その魔法を、早く…!!」

「…もう、ダメですね」


 ラウラはそう言うと、未だに意識を取り戻していない悪魔の方へ、回復魔力を撃った。

 あれほどの魔力を持つ悪魔だと、どの程度効くかは不透明だが、ないよりはマシであろう。


「な…っ…!?貴様、今何をしたか、その行為の意味が分かってるのか!!」

「…私が意味も分からずにやってると思いますか?国王陛下」


 ラウラは国王の方へ振り向かず、悪魔の方へと歩み寄る。

 国王の前で、国王が捕らえようとしてる者に手を貸す。これだけ見れば、完全に国王の命に反して国に損害を与える、言わば背任行為だ。


 だが、もうそんなことはどうでもいい。正義感に燃えてるわけでもないが、こればかりは人間としても見過ごせない。


「う…うぅ…っ…」


 すると、寝そべっていた悪魔が、ゆっくりと目を開く。倒れたまま周りを見て、ラウラの存在を認識した。


「…人間…ッ!!よくも、ボクを…!!」


 悪魔は当然、ラウラを睨みつけてくる。それも当然だろう。いきなり召喚されたうえで拘束され、あんな攻撃をされていたのだから。


 ラウラはあえて少し距離を取り、両手を上げるポーズを取った。


「…私は敵ではありません。アナタが魔界へ帰還することを止めません。体力がないなら、回復もさせます。魔界へ、お帰りください」


 ラウラはそう言い切った。

 国王が後ろで喚いているようだが、そんなものは聞こえない。


 ラウラは両手を上げたまま、ただまっすぐに悪魔を見つめている。自分が嘘をついていない、それをアピールするために。


 悪魔もラウラの反応を見て、少し戸惑っている。


「え…えっ?キミ、ボクを召喚した側なんじゃあ…」

「…謝罪がほしいなら、私がいくらでも謝ります。いきなりお呼びしてしまい、申し訳ありませんでした」


 ラウラはそう言うと、地面が土まみれで汚れることも気にせず、土下座で頭を下げた。


 その反応に、さすがの悪魔も面食らったようで、唖然としている。だが、そうでもしないと、ラウラの気は収まらなかった。


「…分かった。帰るよ」


 悪魔は何とか、動かしにくそうに起き上がる。やはり、魔力の枯渇は、あの程度の回復魔力では賄いきれないのだろう。


 だが、後ろで国王が大声で叫んだ。


「ムダだ!!お前の退路は、すでに断ってある!!」


 その言葉で、ラウラの感情が、絶対零度にまで冷え込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。