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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二章 上位の町・アスティアノ
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侵食

 ーーーこんなに痛いのは、久し振りだった。

 ペルセを庇おうと前に出たら、気付けばこの有り様だ。


「つ、ぅ…!!」


 マールは、痛みに悶えながらも、ペルセ達の方へと視線を向ける。


 せめて、あの子だけはーーー。


 そう思っても、体は言うことを聞かない。恐らく、骨も何本かやられてる。


「欠片も残さず消してやる。ダスノムのゴミが…!!」


 男は手を突き出す。そこに、魔力が集まっていく。


 空気が、ざわつく。

 男の手のひらに、引っ張られてる。


 ーーー集まった魔力が、1つの弾となる。


 あんなもの、まともに受ければーーーペルセはおろか、自分も、ハイーラの家も無事では済まない。


「だ、め…っ…!!」


 痛みを堪えながら、何とか声を出した。しかし、血も混じった喉では、うまく叫べない。


 ーーーその時。

 違和感を覚える。

 ペルセの様子が、違う。


 先程まで、痛みに悶えていたはずなのにーーー動いていない。


 空気が震えている。

 大きく、ざわついている。


 違う。

 何か、おかしい。


「終わりだ!!消え失せろゴミが!!」


 男はそれに気付いていないのか、そのまま弾を勢いよく放った。


 ーーーしかし、その弾が、炸裂することはなかった。


 弾は、霧散した。まるで、ペルセの周囲が、侵入を拒んだかのように。


 ペルセの体からは、明らかにおかしな、白色の何かが漏れている。


 あれは、なんだ。


 アスティアノでも、あんなものは見たことがない。


「貴様…ッ!!ゴミ風情が…!!」


 男は間をおかず、何発も弾を撃ち込む。しかし、その全てが拒絶され、霧散する。


 白色の何かが、ペルセの体の周りに渦を作っている。まるで、ペルセを守るかのごとく。


 息苦しい。

 魔力が充満しているアスティアノでは感じたことがない、息苦しさだ。


 空気の、魔力の流れが、明らかに変わっている。

 この空間の魔力濃度が、急激に下がっていくのを感じた。


「バカな…!!このアスティアノの魔力が…!?」


 男が戸惑っている。その異常性に、気付いたようだ。


 アスティアノの魔力は、上位の魔力だ。その魔力が、ペルセの持つ力から、明らかに逃げている。


「貴様…!!何をした!!」


 異常。この現象は、その一言に尽きる。

 男は現実を受け入れられないようで、ペルセに叫ぶ。しかし、ペルセの返事はない。


 ペルセの体で渦巻いていた白い何かが、ペルセの体に纏わりついている。


 逃げていった魔力の埋め合わせをするように、ペルセの白い何かが辺りを覆っていく。


 ーーー塗り替えられてしまう。

 理屈は分からない。しかし、そう感じさせるだけの異常さがあった。


 倒れていたペルセが、ゆっくりと、確実に立ち上がった。

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