ラウラの過去④ 会議終了
「…拘束した悪魔の行く末など、気になるものなのですか…」
ソロモニア側は面倒くさそうだ。だが、ラウラはここで退くつもりはなかった。
ソロモニアは頑なな様子のラウラを見て、諦めたようにため息をついた。
「現状、拘束して服従させた悪魔は、我々の方で管理はしておりますが…。その気になれば、色々と使えますよ」
「色々…?」
「えぇ。我々の場合は、悪魔の研究検体として使ったり、悪魔の魔力タンクとして奴隷労働をさせております。ですが、犯罪者への扱い、という観点でいくならば、あなた方も大差ありませんでしょう」
ドゥローラ内で罪を犯した者は、投獄される場合もあるが、時に奴隷労働を課される場合もある。ラウラ自身は政治に興味がないため、何とも思っていないのだが、それ自体が、法律として認可されて運用されている。
ゆえに、そこを突かれてしまうと、ラウラも反論をすることができなかった。
「ですが、国王様!」
すると、ソロモニアの男が再び国王を見る。国王はすっかり、ソロモニアの男達を信じ込んでいるようで、身を乗り出して話を聞いている。
ーーー質問に対する対応が、今までのどの外部組織よりもきっちりしている。ゆえに、信用しているのだろう。
「我々は、あくまで拘束にしか使っておりませんが!もし、国王様が悪魔の力を好きに使えるとなれば…!!」
ソロモニアの男達は、国王に囁いている。
反乱を極度に恐れる国王だ。信用した相手から、こんなことを言われてしまっては、のめり込まないわけはない。
政治が混乱するのはどうでもいいのだが、それで自分が研究できなくなるのは勘弁だった。
「…以上が、我々の話となります。追加でお聞きしたい事などあれば、いつでもご連絡ください。ご清聴ありがとうございました」
ソロモニアの男達はそれだけ言うと、会議室から出ていった。
静かになった会議室で、ラウラは周りを眺める。
ラウラ自身は、あの男達を完全には信用していない。言葉にできない、得も言われぬ狡猾さを感じ取ったからだ。
だが、国王や参謀たちは皆、ソロモニアの男達のことを信じ切っているようだ。皆、配布資料を穴が空くほどに凝視して読んでいる。
「…それで、あの連中のプレゼンテーションを聞くためだけに、私達は呼ばれたのですか?会議を締めるなら、早く締めてくださると助かりますが」
ラウラはつまらなさそうにしながら、全員に聞こえるようあえて大きな声で言った。
すると、国王は慌てて姿勢を正し、誤魔化すように咳払いをした。
「う、うむ。では、この案件に関しての採用是非を問おう。この場でなくても良い。一週間後の定例会議で答えを聞かせてもらう」
「分かりました」
「皆、忙しい中集まってくれて済まなかった。解散とする!」
国王のその一言で、会議室の幹部達が皆、各々帰り始める。ラウラも例外なく、さっさと帰ろうと動き出した。
相変わらず、会議直後の出入り口は混雑している。だが、女性ゆえに小柄なラウラは、隙間を縫って抜け出し、そそくさと実験室へと戻っていくのだった。
ーーーこのソロモニアとの出会いが、後々大きな転機になるとも知らずに。




