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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第七章 迫りくるラウラの過去

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ラウラの過去③ 魔術師としての実力

「どうされましたか?」


 当然、手を挙げたラウラは差された。まだ質疑応答の時間ではなかったが、発言機会を与えられたのだから、発言することにした。


「二点、質問があります。一点目は、この拘束術式を行った人物はどの程度の技量を持っていたのか」


 ラウラはそう言いながら、再び資料を一瞥する。

 周りは何も言わず、ただラウラを見ているだけだった。


「…二点目は、拘束対象の悪魔をどのように確保したのか。この二点、お答えください」


 ラウラはそれだけ言うと、口を閉ざした。


 この手の者達は、突っ込んだ質問をすると大概誤魔化してくる。嫌がらせのつもりでは全くないのだが、都合の悪いところに触れてほしくないのかもしれない。


 だが、ソロモニアの連中は、余裕の態度だった。


「まず、一点目については、この者が術式を組み立てています。今、この場で実演することも可能ですよ」


 そう言いながら、一人の男を前へ出す。確かに、魔力だけ見るならそれなりの魔術師レベルではあるだろう。


 だが、実演までできるとなると、疑わしい。ラウラは静かに口を開いた。


「…試しに、私にやってみてください」


 それならば、データも取れる自分で味わってみるのが手早い。ラウラはあえて、ソロモニアを煽る真似をした。


「分かりました。おい、やっていいぞ」

「は、はい。では失礼して…」


 そう言うと、前に出てきた男は、静かに詠唱を始める。すると、ラウラの周りの空間、ひいては足元から魔力の籠もった鎖のようなものが現れる。

 よくある拘束術式。だが、普通のものとはかなり違う。


「それっ!!」


 男が声を上げると同時に、ラウラとその周辺の空間を拘束、そして封鎖してしまう。

 鎖で縛り上げられてるのももちろんだが、その周りからも締め出されているような感覚だ。


 ーーー指一本動かせない。解析をかけようにも、かなり厄介な術式が組まれている。会議資料で見た通りならば、解除するのは一苦労だろう。


「…よく分かりました。解除していいですよ」

「はい!」


 ラウラの言葉とともに、拘束術式は解除される。

 術者の男の息もあがっていないことから、魔力量に任せて押し切ってるわけでもない。そうなると、継続した拘束も不可能ではない、ということか。


 ーーー一般の悪魔崇拝者集団に過ぎない組織にしては、なかなかの開発力だ。


 しかし、まだ二つ目の質問の答えを聞いていない。ラウラは無言で、プレゼンターをやっていた男に視線を向ける。


「術式について分かっていただけたところで、二つ目の解答ですが…。これは、悪魔祓いで祓われた害悪な悪魔や、まだ人間に取り憑いて害を及ぼしていた悪魔に対して行っています。その中に、エクソシストでさえ匙を投げた大悪魔もいた、という話ですね」


 ーーー追求要素が、少ない。

 これを糾弾すると、獣害を放置するのと同じで、悪魔による被害を放置する、ということになってしまう。


 悪魔からの同意を、と言おうかとも思った。だが、人間界に損害を与えてる悪魔を相手にしてるとなると、私人逮捕を実施してるようなもので、褒められはしないが咎めにくい相手だ。


「では、質問はもう」

「追加で一つ、よろしいですか?」


 質疑応答を切り上げ、説明に戻ろうとしたソロモニアの言葉を遮り、ラウラは声をあげた。


 ソロモニアの男達は面倒そうに、ラウラを見つめてきた。


「では、悪魔を拘束したあと、その悪魔はどうしたのですか?」


 最後の質問として、この言葉を投げかけた。

 どうしても、確認しておきたかったのだ。

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