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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第七章 迫りくるラウラの過去

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感じ取れた能力

「…ペルセさん。これから、真面目な話をします」

「ほぇ?」


 未だにイアノの膝の上に居座るペルセへ、ラウラは冷静に声をかける。


 この話は、非常に長くなる。ずっとイアノの膝の上というのも、イアノへの負担が大きすぎる。


「ペルセちゃん、ここは真面目に、椅子に座って聞きましょう。アナタのために、お話されるのですから」

「…分かりました…」


 ペルセはイアノにそう言われ、渋々ではあったが膝の上から離れ、イアノの隣の席へと移動した。


 余程離れがたい場所だったのかもしれないが、こればかりは仕方がない。ペルセも当事者になる以上、リラックスした状態で聞いてよい話でもないのだから。


「…さて、どこからお話しましょうか…」

「とりあえずさ、今日来た奴の話からじゃない?」


 ラウラが顎を手に当てて考えていると、机の上においてあるラウラの手鏡に、ヴァーレアが写る。ヴァーレアが話に参加しやすいように、あえて放置しておいた手鏡だ。


 鏡の中にいるヴァーレアは、難しそうな表情をしていた。だが、ヴァーレアの言う通り、まずは今日のことから説明するのが一番分かりやすいだろう。


「まず、今日の昼休み終盤、図書館アナタに接触してきた男ですが…ペルセさん、あの男に対して、何を思って連絡してきたんですか?」

「え?うーんと…」


 まずはあの件について、ペルセの意見を聞いてみないといけない。どこまで感じ取ってて、何を思ったのか。そして、なぜわざわざあんな呼び出しをしてきたのか。


「…あの人の奥底に嫌な感情が見えてた。悪意というか、敵意というか…。でも、トロールの時に大人に頼るようにラウラ先生に言われたから、連絡しました」


 だが、ペルセの返答は、ラウラの理解の範疇を超えていた。

 嫌な予感がした、だとか迫られて怖かった、とかそういった返答を想定していた。だが、ペルセの話だともっと前段階から感情を感じ取っていた、ということのようだ。


 だが、そんなペルセの言葉に、イアノは納得したかのように頷いていた。


「…イアノさん?」

「こういう形で確認したくはありませんでしたが、ちゃんと魂魄観察能力は身についていますわね」

「どういう、ことです?」


 だが、その言葉の意味は分からなかった。魂魄観察と感情の察知が、どうつながるというのか。


「本題からそれるので簡潔に教えますが、私やデメナ様が見れるのは魂魄…まぁ厳密には少し異なりますが、その所在地と、揺らぎです。感情の起伏が魂魄の揺らぎ、ひいては感情の乗った『声』のようなものとして聞こえるんですの」


 ーーー理屈を聞いたら、もっと訳が分からなくなってしまった。

 魂魄の所在地と、揺らぎ。しかもその揺らぎを「声」として感知する。


「でもでも!普段から聞き取れるわけじゃないんですよ!?普段はシャットアウトしてるから、強い声しか聞こえてこないんです!!」


 ペルセが慌てて弁明している。だが、ペルセの言ってることが本当だったとしても、使い方を誤れば世界に多大な影響を及ぼせる能力だ。


 研究者としては、非常に気になる。


「…あなたが気付いた要因は分かりました。ですが、その能力だと思考は読めない、という認識で大丈夫ですか?」

「概ね、その認識で問題ありませんわ」


 イアノの返事を聞き、ラウラは決意を新たにした。


 そういうことなら、話す内容は何も変わらない。あの連中の思想は、ペルセには何も伝わっていないのだから。


「あの男は、ソロモニア、という組織の一員です」


 そのひと言で、ペルセ以外の空気が凍った。

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