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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第七章 迫りくるラウラの過去

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最強の来客者

 ラウラはその足で、ペルセを連れて学長室へと赴き、学長から緊急事態を理由として、早退の許可をもぎ取った。


 ソロモニアの名前こそ出さなかったが、それとなく匂わせただけで、学長は青褪めていた。それも、無理もないだろう。


 教室に置いていたペルセの荷物は、ケジメとしてラウラ自ら取りに行った。担任している生徒からも視線は向けられたが、そんなことを気にしている余裕は皆無だ。

 まだ日は高い時間帯だったが、周りからの視線も適当に受け流し、ペルセと共に帰宅した。


 ペルセは明らかに戸惑っていた。だが、ラウラの頭には、最後の一言を聞かされたがゆえの、強い焦燥感しかなかった。


「ペルセさん、申し訳ありません」

「…一体、どうしたんですか?」


 ペルセは今、部屋の中で荷物の片付けをしている。だが、ラウラはそんなペルセの前に立ち、深々と頭を下げる。


 そんなラウラを見て、ペルセは変わらずオロオロしている。だが、こちらの、人間界側の都合でペルセまでも巻き込んでしまったのだ。ペルセの背後にいるであろう、魔界の上層部から罵倒されても、何一つ文句は言えない。


 だが、あのひと言、あの現場にいた男の去り際の一言が、耳から離れない。


『我々を、ドゥローラをも裏切ったお前にも、ツケは払わせる。そのガキと共に、首を洗って待っていろ』


 明らかに、自分をもターゲットにしていると確信させる、その一言。今迫っている危機は、ペルセを狙うだけの勢力ではない。


 ーーー自分の過去、そのものだ。


「…ランちゃん」


 そんな状況で、部屋の中にある化粧台の鏡に、ヴァーレアが姿を表す。その声は、ラウラの焦りを察しているのか、茶化してるような声色ではない。


 ラウラとペルセが、鏡を見る。そこには、いつになく真面目な顔をしたヴァーレアの姿があった。


「…分かっています。ペルセさんに事情はお話します。可能な限り、子供にも伝わるように…」

「それもそうなんだけどさ…」


 それ以外に何がある、というのだ。だが、ヴァーレアは少し、気まずそうにしている。


 訝しげに見つめていると、家のインターホンが鳴る。その音に、思わずラウラは飛び上がるほどに驚いてしまった。


 ーーーまさか、もう次の追手が来たとでも言うのか。だとするなら、扉を開けてはいけない。


 だが、目の前にいるペルセの顔は、とても嬉しそうだ。


「この感じは…イアノお姉ちゃんだ!!」

「えっ!?ちょっと、ペルセさん!?」


 ペルセはそのまま勢い良く、玄関へと走っていった。


 まずい。万が一のことがある。ラウラは慌てて、その後を追いかけた。


 もしソロモニアの追っ手だったら、扉を開ければ最後だ。そんな焦燥感が、ラウラをかき立てる。


 ーーーだが、ヴァーレアがやけに冷静だ。不自然なほどに落ち着いている。


「…ランちゃん、扉を開けよう」

「はぁ!?アナタまで何を…!?」

「勝手をやったことは後で謝る。でも昨日、ボク、ダメ元で連絡したんだよ。そしてさっき、同じ相手から連絡が来たんだ」


 そんなやり取りをしていると、ペルセが鍵を外し、扉を開けてしまった。


 ーーーそこには、見覚えのある、どこかヴァーレアに似ている悪魔の姿があった。


「…最高幹部のデメナの名における正式な任務として、イアノ姉様が護衛として来たんだ…」


 その一言が、より空気を重くしてしまった。

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