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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第六章 人間界の休日

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休暇の終わり

「いや〜…楽しかったね」

「うん、楽しかった」


 空を見ると、すでに日が傾いてきている。この一週間で何回も見たが、魔界では見たことがない、少し赤みがかった空の色だ。


 ゲームセンターから出た二人は、そんな空を眺めながら、最初の集合場所だった公園へと歩いて向かっていた。


 今日はミノトに連れ回され、なかなか疲れた。だが、隣を歩くミノトは、まだまだ元気そうだ。

 ーーーミノトの体力は、底無しなのか。その様子からは、若干の物足りなさすらも感じ取れる。


「…ミノト、疲れてないの?」

「んー?まぁ…でも、まだ物足りないよ!門限なかったら、もっと遊びたかった!!」


 ーーー恐ろしい。

 同時に、門限を設けたミノトの保護者は正解だ、と思ってしまった。


 それと同時に、ふと気になることが出てきた。


「…そういえば、ダリスともこういう風に遊んだりするの?」

「ん〜…ダリスは男の子だし、狼の獣人だからなぁ」


 ダリスとのことについて何気なく尋ねてみたら、返ってきたのは意外な返答だった。ミノトは性別や種族を気にするようなキャラには見えない。


 だが、ミノトはペルセの様子をあまり気にせず、言葉を続けた。


「今日ペルセちゃんと行ったところには、連れて行きにくいかなー。狼だからウサギとはふれ合いにくいし、甘いの好きじゃないし…」

「あー…」


 確かに、そう言われてみると納得だ。

 肉食である狼が相手だと、ウサギは怯えてしまうかもしれない。エストラでも、ダリスはデザート等を食べておらず、基本は肉を食べているだけだった。


「プリクラはできるけど、ああいうのって男の子は恥ずかしがるからね」

「…そういうものなの?」

「可愛く撮られるのは、あまり好きじゃないみたい」


 ミノトはそう言いながら、少し困ったように笑う。どうやら、ミノト自身もよく理解していないらしい。


 ペルセはふと、今日撮ったプリクラ写真を眺める。

 色合いは地味目のものにはしたが、全体的に可愛らしい雰囲気だ。確かに、これを実父であるクロニオスと撮りたい、と言っても、間違いなく誘いに乗ってくれないことが、容易に想像ついてしまう。


「だから、ペルセちゃんと撮れて、私すっごく楽しかったよ!!」

「…そっか…」


 ミノトは再び、嬉しそうに声をかけてきた。その笑みを見て、ベルセも小さく微笑んでいた。


 そんなやりとりをしていると、最初の集合場所にした公園へと到着してしまった。


 ーーー終わってしまう。名残惜しい。


 散々振り回されてきたが、その思いがペルセの中に芽生える。だが、それはミノトも同じだったようで、寂しそうな顔でペルセを見つめてきた。


「うぅ〜…門限…門限がもっと長かったら…」

「しょうがないよ。お母さんに、心配かけたくないでしょ?」

「そうだけど…」


 寂しいのはお互い様のようだ。だが、親にいらぬ心配をかけさせることは、本意ではない。


 何よりもーーー


「また来週、エストラで会えるよ」


 まだ、ペルセの留学期間は二週間残っている。だから、まだ学校で会うことができる。


 そう思い、ミノトに声をかけると、ミノトはパッと明るい表情に戻った。


「…そうだね。また来週、会えるもんね!」

「うん。そうだよ」


 ミノトはそう言うと、ペルセから少しずつ離れていく。どうやら、帰路につくつもりのようだ。

 ペルセはそれを、特に遮ることもせず、ただ見守っていた。


「ペルセちゃん、じゃあね!また来週、学校でね!」

「…うん!また学校でね!」


 ミノトはペルセに向けて、大きく手を振ってきた。それに応えるように、ペルセも手を振る。


 一時的な別れ。だが、それは家族と少し離れる、というものとは全く違っていた。

 数日後に、友達としてまた会える。その感情は、初めての経験だった。


「…楽しかったなぁ…」


 去りゆくミノトの背中を見守りながら、そしてウサギのぬいぐるみを抱き締めながら、ペルセは小さく呟くのだった。

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