遊びの終焉
「この写真、欲しいよね?」
「え?うん、そりゃもちろん…」
「…うわちゃー…私、ハサミ持ってきてないよ…」
プリクラから出てきたミノトは、頭を抱えている。
どうやら、各台紙に六枚ずつある写真を、二人で等分したいらしい。
確かに、合計で十八枚もあると、自分が独り占めするには量が多すぎる。二人で分けても多いくらいだと言うのに。
ハサミを持ってきてないと言っているが、ペルセはあまり焦っていなかった。
「…ミノト、ちょっと貸して?」
「え?うん」
ペルセはが差し出した手に、ミノトは台紙を一枚渡した。そこには、二人でピースした写真が六枚印刷されている。
「えーっと、こうやって…」
「え?!何してるの!?」
ペルセは自身の魔力をレーザーカッターのように使い、台紙を中央で二等分した。
このくらいのことなら、そんなに難しくない。魔力を鋭利な刃物のように変形させ、狙った場所に狙い撃ちをするだけだ。ましてや、ほとんどゼロ距離で撃てるのだから、狙いを定めるのは易しい部類だ。
「す、すごー…!」
だが、隣にいるミノトは、まるで未知の現象でも見たかのようなはしゃぎっぷりだった。
そんなに珍しいことなのだろうか。ペルセは不思議に思いながら、他の二枚も同じように二等分してみせた。
「はい、これで大丈夫かな?ちょっとガタガタになっちゃったけど」
「十分だよ!私がハサミでやるより真っすぐ切れてる!!」
それぞれの台紙を二等分したペルセは、そのうちの半分をミノトに手渡した。ミノトはそれを嬉しそうに受け取ってくれた。
「ありがとう、ペルセちゃん…!」
「…どういたしまして、でいいんだっけ」
ペルセはそんなミノトに若干戸惑いながらも、言葉を返した。
お手伝いをしたことに対して、大人からありがとう、と言われる機会は多かった。特に、ハイーラからは家事手伝いをしたことに対するお礼を言われることが多かった。
だが、自分と同じくらいの子供から言われたことはなかった。しかも、たかが台紙を魔力で二等分にしたくらいのことでここまで喜ばれるとは思わなかった。
ペルセはふと、先程撮ったプリクラ写真を眺める。
ーーー無邪気に笑っているミノトの隣で、写真の中に写る自分は、ミノトの隣で静かに笑っている。
「…これ、大切にするよ」
「うん!私も、大事にする!初めての、ペルセちゃんとのツーショットだから!」
ペルセが何気なく言った言葉に、ミノトも大袈裟なほどに反応してくれた。
ーーー正直、疲れる。でも、一緒にいて楽しくなる相手だ。
あの生真面目で落ち着いた性格のダリスが、文句を言いながらもミノトの世話を焼く理由が、何となく分かった気がする。
「あ!そろそろ、私門限になっちゃう!」
ミノトが腕時計を見て焦り始める。そう言われ、ペルセも周りにある時計を見ると、すでに6時になろうとしているくらいの時間だった。
プリクラで熱中し過ぎただろうか。二人は慌てて、ゲームセンターの外へと出ていったのだった。




