プリクラ加工
写真撮影を終え、ミノトはパネルへと近付く。
これから、写真加工に入るのだろうか。それすらも、このパネル上で完結してしまうというのか。
パネルを見てると、先程撮った三枚の写真が表示されている。二人でピースしている写真、揃って前屈みになっている写真、そして背中合わせになって、腕を絡ませている写真。
「ペルセちゃん、どれも可愛く撮れてるよ!!」
「そ、そうなの?」
「うん!やっぱり可愛いよ!!」
親ですら、娘である自分のことを可愛いと言うことは少ない。にも関わらず、ミノトはその言葉を連呼してくる。
そう言われても、ペルセにはいまいちピンときていなかった。
ウサギは可愛い。それは間違いなく感じている。だが、それが自分にも当てはまるのかと言われると、正直分からない。
ーーーそもそも、悪魔である自分とウサギを、同列として扱っていいのかも分からなかった。
「よし、じゃあ色々加工してみよう!」
「あ、うん。でも、どういうのがあるの?」
「えーっとね…」
ミノトはそう言うと、パネルに指を当て、スイーツ屋のタブレットと同じようにスライドさせる。すると、様々な加工メニューが出てくる。
「周りをキラキラさせたり、文字を書いたり、あとは目を大きくしたり!色々できるよ!!」
「ほぇ〜…」
確かにパネルを見てみると、キラキラしたエフェクトをつけられるものであったり、顔のパーツの加工等、色々な選択肢が表示されている。
こんなに色々とできるのか。ゲームセンターにある以上は遊びに過ぎないのかもしれないが、魔界では見られないような、目立つ加工ばかりだ。
「でも、私顔をイジる加工は好きじゃないんだよねー」
「え、どうして?」
「私がやると、バランス壊れて化物みたいな顔ができちゃう」
「…一体どんなの作ったのさ…」
ミノトは一体どんな加工をしていたのか。少し気になるところではあるが、ペルセとしても、写真上とはいえ顔のパーツをあれこれされるのには、少し抵抗があったため、好都合だった。
「だから、代わりに周りを豪華にしよ!例えばこんな感じで!」
ミノトはそう言いながら、背景を一つ選択した。すると、先ほど撮った写真の周りが、大きなハートマークで囲われた。
「うぉう…」
「あ、こんなのもある!これもいいなー!」
ミノトはそう言いながら、次々と背景を変えていく。星がキラキラ輝いているものから、小さいハートマークが散らばったような背景まで、様々だった。
「…これ」
「ん?」
ペルセは、一つの背景に目を惹かれる。その背景は、暗青色の中に、デフォルメされた悪魔のイラストが点在しているような背景だった。何だか、魔界の暗い空を見てるようで、落ち着く色合いだった。
「これがいいの?大体の子にウケない背景だけど」
「これが、いい」
「ほぇ〜…やっぱり、悪魔だからかな?」
「…そうかもね」
ミノトは不思議そうにしていたが、特に異論は唱えてこない。素直にパネルを操作し、背景をペルセが指定したものにしてくれた。
「あとは、文字だね!せっかく悪魔のペルセちゃんとプリクラ撮ったし…」
「…普通に名前とかでいいんじゃ?」
「それでもいいけど、物足りなくない?」
「そう…かな?」
「そうだ!」
ミノトは何か閃いたように、パネルを操作し、文字を記入し始めた。
一体、何を記入するのか。ペルセはそんな真剣なミノトを見守ることしかできなかった。
「できた!こんなのどうかな!?」
しばらくしてミノトはそう言うと、ペルセにパネルを見せてくる。そこには、ミノトの記入したであろう文字が、先ほど撮った写真の下方に、三行に分けて書かれている。
『ミノト×ペルセ!人間×悪魔!種族を超えた友情の証!!』
ーーー驚いた。獣人であるダリスとの付き合いも長いミノトが、こんなことを書くとは思っていなかった。
だが、特に反対する理由も、ペルセにはなかった。
「どうかな?どうかな!?」
「…いいんじゃない?」
「やったー!じゃあ、これでプリントアウトしちゃうよ!」
ミノトはそう言うと、パネルを再び操作する。
しばらくすると、機械の方から、何かが回転してるような、大きな音がした。そして、その下方の取り出し口から、三枚の紙が出てきた。
「お、これこれ!!」
ミノトが三枚とも手に取り、ペルセに見せてきた。その紙を見ると、先程の加工を反映したプリクラ写真が、各紙六枚ずつ現像されていた。
「…これが、プリクラ…」
「ちゃんと三パターンとも出したから!記念に持ち帰ろ!!」
大はしゃぎするミノトを横目に見つつ、二人はプリクラから出ていくのだった。




