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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第六章 人間界の休日

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初めてのプリクラ撮影

 垂れ幕を潜って、プリクラ機材の中を見てみる。

 中は二人で入るには、少し広い。周りは白い壁で覆われており、殺風景ではある。


 だが、何より目についたのは、目の前にある様々なパネルだった。


「よし、じゃあまず撮ろっか。どんなポーズで撮りたいとかある?」

「ど、どんなポーズって言われても…」


 公的な写真ならいざ知らず、こんな私的な場での写真などどうやって撮るのかなど、知るわけがない。ましてやポーズなど、分かるわけがなかった。


「三回まで撮れるからさ、とりあえず色々なポーズを試してみようよ!」

「ど、どんなポーズがあるの?」


 ペルセからそう聞かれ、ミノトは顎に手を当てて、考え込んだ。そんなに難しいことを聞いてしまったのだろうか。


 だが、すぐにミノトは顔を上げて、ペルセの方を向いた。


「とりあえず、ピースしてみよ、ピース!」

「ピース?」

「ジャンケンのチョキみたいな!こう!」


 ミノトはそう言うと、手を前に突き出した。確かに、言われてみるとジャンケンのチョキに似ている。


「これを顔の近くで、こうやって…」

「えっ?こ、こう?」


 そして、ミノトはピースさせたペルセの手を、ペルセの頬の横へと持ってきた。


 ーーーこのポーズに、何か意味があるのだろうか。不思議に思いながら、そのポーズをとり続けた。


「ペルセちゃん、笑って笑って!」


 パネルを操作したミノトが、ペルセの隣に戻ってきた。

 ミノトは眩しいほどの笑顔を浮かべ、ピースした手を前に突き出している。しかも、その体を少しペルセの方へと寄せており、接触こそしていないが、ミノトの顔がペルセの顔に近付いていた。


「間もなく撮影します。3、2、1…」


 機材の方から、無機質な音声が聞こえてくる。

 ミノトとの距離が近く、何だか落ち着かない。だが、同時に笑いもこみ上げてくる。


 そうこうしているうちに、シャッター音が聞こえてきた。


「お、撮れたかな?」


 そう言いながら、ミノトはパネルへと近付いていく。釣られて、ペルセもパネルを見てみる。


 パネルの画面には、先程撮られたと思われる写真が写っている。写真の中では、微笑んでピースをしているペルセと、その隣で腕を広げてピースをしているミノトが、かなり近い距離に寄り合っていた。


「お〜、撮れてる撮れてる!」

「…これ、いい感じなの?」

「いい感じ!次はちょっと違うポーズで撮ってみよ!」


 違うポーズ。

 そんなことを言われても、どんなポーズがあるのか。それ以前に、そもそもミノトはどういう目的の写真を撮りたいのか。


「次は…せっかくだから、ちょっと二人で前屈みになってみよ!」

「前屈みに?」

「ちょっと可愛く、ね!」


 そう言いながら、ミノトはカメラの前で前屈みになった。ペルセも同じように、前屈みになる。


 どこを見ればよいか分からず、ペルセはパネルの方を見つめていた。

 一体、どうやって写真を保存したのだろう。不思議に思い、首を傾げた。


「間もなく撮影します。3、2、1…」


 すると、再び先ほども聞いた無機質な声と、シャッター音が聞こえてきた。


「よし、じゃあラスト一枚は…ふっふっふ…」


 ポーズを解消したミノトが、静かに笑っている。何だか悪い笑顔に見えてしまい、少し距離を取ってしまう。


 一体、どんなポーズをさせるつもりなのだろうか。そう思っていると、ミノトは勢いよくペルセの方を向いた。


「最後はとっておきだよ!背中合わせで、私と腕を組もう!!」

「へ?」


 背中合わせで、腕を組む。言われてることは理解できた。

 だが、ペルセの想像通りなら、密着することになる。しかも、腕まで組むとなると、密着度はかなり高くなる。


 嫌というわけではないが、良いのだろうか。


 それを言う暇もなく、ミノトはパネルを操作し、ペルセと背中合わせに立った。


「ペルセちゃん、改めて言うけど、カメラはあそこだよー。カメラに目を向けて!!」


 ミノトはペルセと腕を組みながら、カメラの場所を改めて教えてくれた。その間も、ミノトはカメラの方から見える自身の腕を、ペルセの腕と絡めていた。


「…ふふっ」


 ーーーこれが、同性の、親しい同年代の友達と撮る写真、というものなのだろう。ペルセは少し、笑みをこぼした。


 その瞬間、再びシャッターが切られるのだった。

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