人間界の服装と、ペルセの服
ペルセは注文を待つ間、暇なので店内を見回してみた。
店内には家族連れやカップルで来ている客が多い。だが、自分達と同じように、子供だけで来ている客もいた。
ミノトの話だと、ここは特に、女子中高生に人気の店の一つらしい。ミノトは小学生なのでは、と思ったが、そこには触れないことにした。
言われてみると、確かに自分達よりも少し年上の女子も、少なくない人数いる。その女子達の中には、少し落ち着いた格好の者から、逆に極端に派手な格好をしてる者もいた。
「…ミノト」
「ん?」
「人間界の女の子って…色々な格好してるね」
「…あ〜…」
ペルセにそう言われたミノトは、少し困ったような反応をした。
「まぁ…迷惑にならないようにしながら、好きな格好をしてるだけなんだよ、皆」
「好きな、格好…」
ミノトのその言葉で、ペルセの頭の中には、同居している保護者であるハイーラとマール、そして実母のデメナの姿が浮かんだ。
ーーーハイーラはメイド服だし、マールは肩出しの紫ワンピース。デメナに至っては、下半身こそ普通のスラックスだが、上半身は若干セクシーな服装だ。
特にハイーラは、以前「メイド服着てるのは、趣味もあるし、単純に動きやすいのよ!」と言っていた。その感覚なのだろうか。
「でも私、お母さんに可愛い服を買ってもらえないんだよー…」
「え?何で?」
「『子供なあんたにはまだ早い!』って…。何でなのさ〜…」
ミノトは不満げにそう言いながら、机に突っ伏す。机の下では、脚をバタバタさせていた。
ーーー別に、私服姿のミノトを見ても、特に強い違和感はない。むしろ、制服姿のミノトしか見たことがなかったため、ちょっと新鮮ではある。
「逆に、ペルセちゃんはどうなの?服とか」
「服?うーん…よく分かんない…」
ミノトに聞かれても、それが本心だった。
自分が初めてダスノムから出てきた時に、マールが突貫で作ってくれた、膝下まである長袖の黒いワンピース。
多少の作り直しであったり、手直しはされているが、この系統の服ばかり着ているだけで、別の服に手を出そうとは考えておらず、ハイーラ達に頼む気もなかった。
「ペルセちゃん、お母さんに可愛い服買ってもらいなよ!絶対似合うから!!」
「そ、そういうもの?」
「本音を言えば私がコーディネートしたいけど…それやったら多分お母さんにめちゃくちゃ怒られる…」
「え、どうして?」
「無駄遣いするな、って…」
ーーー服は、そんなにお金がかかるのか。服なんて自分で買った経験がないため、あまり感覚が掴めない。
だが、可愛くなるとどうなるのか。それは純粋に気になることではあった。
「お待たせしましたー。ショートケーキ二つと、ミルクココア二つです」
何か言葉を続けようと思ったが、その会話に割り込むように、店員が二人の座る席へとやってきた。その手には、ケーキが二皿と、湯気をあげるカップが二つあった。
店員は静かに、そのケーキとココアを、二人の前に差し出した。
ーーー美味しそうだ。今まで嗅いだことがない、甘い匂いがペルセの鼻を刺激する。
「やっぱり美味しそー!」
店員が席から離れると、ミノトは先程までの不満げな様子から打って変わって、フォークを握りしめた。




